アルバイト経験は就職活動の自信を高める!? 和歌山大学経済学部 厨子直之研究室(ゼミ)の研究成果

厨子直之先生 おはようございます。前回、大学生の就職活動における自信、つまり自己効力感に影響する大学生の経験についてお話ししました。

今日は、「アルバイト経験」、「部活動」、「大学での講義」という、多くの大学生が関わっている活動のうち、どれが最も就職活動時の自己効力感を高めるのかについて、厨子研究室で実施した調査の結果をご紹介させていただきたいと思います。

ここからは、調査を実際に行ったゼミ生にも参加してもらって、お話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
《この放送分では、ゼミ生の磯打愛さん、大井里紗さん、服部早妃さん、東野誠さん、吉田愛美さんにも発言して頂きました》

ゼミ生 2013年8月1日~9月10日の期間で、和歌山大学、関西大学、関西福祉科学大学の学生257名に対して、アンケート調査を行いました。

アンケートは、すべて「1.そう思わない~5.そう思う」の5段階で評価してもらいました。アルバイトの仕事特性を「アルバイトの仕事で求められるスキルの多様性」と「アルバイトの仕事の自律性」の2つ側面から聞きました。「アルバイトの仕事で求められるスキルの多様性」は、「アルバイトをうまくこなすためには様々な異なるスキルを使わなければならない。」など4問で尋ねました。「アルバイトの仕事の自律性」は、「アルバイトを進めていくにあたって自分自身の主体性を発揮したり、自分で判断できる機会が多い。」など3問で尋ねました。

部活動の活動特性も、「部活動で求められるスキルの多様性」と「部活動における活動の自律性」の2つ側面から聞きました。「部活動で求められるスキルの多様性」は、「部活動を行うにあたって、様々な技術・能力(ドリブルやパス、演奏能力など)を必要とする。」など4問で尋ねました。「部活動における活動の自律性」は、「部活動の進め方について自分自身で決定できる部分が多い。」など3問で尋ねました。

大学での講義の取り組み姿勢については、「大学の授業を受けるにあたって、自分自身の主体性を発揮したり、自分が判断できる機会が多い。」など6問で尋ねました。

最後に、就職活動における自己効力感については、「自分の望むライフスタイルにあった職業を探すことに自信がある。」など5問で尋ねました。

厨子先生 集められた257名分のデータを用いて、就職活動における自己効力感に影響を与える要因を特定するために、SPSSという統計ソフト用いて統計分析を行いました。近年、統計スキルはビジネス現場で語学・会計に並んで、非常に重要なスキルとして注目されています。

ゼミ生 今回使用した分析手法は、「重回帰分析」と呼ばれるものです。重回帰分析とは、「1つの結果に対して考えられる原因のうち、どの要因が影響しているか」を調べる分析方法です。今回の分析でいえば、「就職活動における自己効力感」に与えると考えられる要因のうち、「アルバイトの仕事特性」、「部活動の活動特性」、「大学での授業の取り組み姿勢」のどれが影響するかを特定することになります。

重回帰分析の結果、「アルバイトの仕事の自律性」のみが、就職活動における自己効力感を高めるという結果が、統計的に実証されました。つまり、「アルバイトで自律的な仕事をやっている大学生ほど、就職活動の際に高い自信を持てている」という結果です。

アルバイトで自律的な仕事をしているということは、たとえばクレーム処理を自主的に行うなど、責任感が求められ、普段から目上の正社員の人の仕事に触れ合う機会があるため、主体的に将来のキャリアを考えるようになるだろう、という解釈ができます。

厨子先生 モチベーションの理論では、「仕事における自律性」は仕事意欲を高める最重要要因として注目されています。今回の調査で、「仕事における自律性」は大学生のキャリア意識にもポジティブな影響があることが確認されたことは、理論的・実践的にも注目に値する結果であると考えます。

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