日越間の貿易黒字倍増を-来日のグエン・スアン・フック副首相 、安倍首相と会談

グエン・スアン・フック副首相の先日の日本訪問は、日越間の「アジアにおける平和と繁栄のための戦略的パートナーシップ」を育む一歩となった。二国は経済協力や企業交流の促進で合意した。

5年間で二国間貿易の黒字倍増を目指す
安倍晋三首相との会談で、ベトナムのフック副首相はまず、ベトナムが日本との包括的な協力と友情の発展を重要視し、ベトナムの外交政策上でも日本を最も重要な国のひとつと位置づけていることを伝えた。

2014年3月に締結した「アジアにおける平和と繁栄のため戦略的パートナーシップ」により、二国間の関係と協力はより強固となり、さらに発展している。現在、日本はアジアにおけるベトナムの最も重要な貿易国で、二国間の貿易は2013年に243億ドルに達し、前年比約2.4%の増加を示した。今年の二国間貿易は、1-8月末ですでに約180億ドル、ベトナムから日本への輸出は99億ドルに達し、12.7%の伸びをみせた。一方で日本からベトナムへの輸出も前年同期比8%増の81億ドルにのぼった。日本はまた、9月20日までの統計においてベトナムにおける投資額で1位を占めており、総登録資産額は363億ドルだった。

また、フック副首相は、マグロ漁業や海産物の鮮度保持技術の供与など農水産面での日越の協力強化を日本に求め、ベトナム産食材の価値向上や農産物の品質基準システムの早期確立に期待を示した。また、今後5年間で両国間の貿易額と投資総額を倍増するという目標達成のため、活発に交流する必要性を説いた。

さらに、インフラ整備やベトナムの競争力強化、行政改革、気候変動への対応、貧困と飢えの解決といった問題に焦点を当てた日本の政府開発援助(ODA)を評価し、「ベトナムは日本からのODAは、日本政府の善意であり、また、日本とベトナムの人々の間の厚い友情の象徴であると考えており、それを適正に、効率的に活用することに尽力している」と述べた。加えて、気候変動の緩和においても、自然災害の早期警報を提供できる衛星プロジェクト実現に向けて、日本の高い技術力の支援を求めた。

安倍首相は「アジアにおける平和と繁栄のため戦略的パートナーシップで、日本とベトナム間の関係をより強化したことは、今後、両国がさらに深く、大きく歩み寄るための重要な前提となる」と話した。また、今後も日本がODAの提供などによりベトナム社会の発展を継続的に支援することを強調。投資や貿易、産業・農業分野の支援や、官民パートナーシップを促し、ベトナムの海洋法の強化を援助していくと強調。特にベトナムとの司法分野での協力について高く評価し、この分野での結びつきをさらに深めていくことを約束した。

民間企業の進出を歓迎
一方で、関西の企業と面談したフック副首相は、「ベトナムは日本の投資家にとって最善の条件を提供する」すると強調して、日本企業のベトナム進出を歓迎した。

また、日越友好協会や、遠洋マグロ漁とマグロの保存のために、ビンディン省に積極的に技術を移転した日本企業数社の活動を高く評価し、さらにフーイエン省やクアンナム省、カインホア省などへと協力を拡大することを求めた。

日本の企業関係者らによると、この12月からはより多い数量のマグロを安定的に輸出することを目指しており、実現に向けてビンディン省の漁師らに漁業技術を教えていくという。さらに、JICAに対しては、他地域への短期的な協力も打診した。

日本側は、投資環境を改善しようとするベトナム側の努力を認めたうえで、ベトナムでの経済活動拡大の意思を伝えた。また、フック副首長に対して、行政手続きの簡略化、中小企業や新技術の育成、環境配慮型プロジェクトへの支援など、投資環境をさらに改善するよう求めた。