日本商工会議所ベトナム視察団 造船・自動車製造業に高い関心

ベトナムを訪問した日本商工会議所の視察団はこのほど、商工省のグエン・カム・トゥ副大臣らと面会、ベトナムの産業界と日本企業が連携できる機会などを探った。

視察団は、日本商工会議所・日本メコン地域経済委員会(委員長=小林陽一・伊藤忠商事副社長)が行なった。視察団は、10月27日から5日間の日程でベトナムを訪問した。

視察には大企業から中小企業まで、さまざまな企業が参加。ほとんどのが、策定されたばかりのベトナム工業化戦略についての情報収集が目的だったようだが、特に造船業と自動車産業、また海外投資家に対する優遇策に関心が集まった。

商工省との会談では、「ベトナムでの協力の機会を模索したい」などとする日本側と活発な議論が展開された。小林委員長は、ベトナムのASEAN経済共同体(AEC)や環太平洋パートナーシップ協力協定(TPP)などへの参加により、「日本企業のベトナムへの関心が、最近、非常に高まっている」と説明した。統計でみても、ベトナムで事業展開している日本企業は約1300社にのぼり、タイの約1500社、インドネシアの約1450社についで、3番目に多い。

商工省のグエン・カム・トゥ副大臣は、日本の協力でベトナムの工業化戦略が策定されたことについて、日本政府と日本企業に感謝の意を表明し、「近年、日本はベトナムの投資国の中心的存在となっている」と話した。また、工業分野における海外直接投資(FDI)に関して、ベトナムが裾野産業の分野での海外投資を促していることを告げた。

造船業で言えば、ベトナムは海外企業の投資により大型船舶や漁業の近代化のための遠洋漁業用の船などの建造を呼びかけている。また、自動車産業の発展は、ベトナムは、外国企業が裾野産業の部品製造に投資する動機となる要素が多いと話した。

トゥ副大臣はまた、「政治的安定、人口規模、土地資源と豊富な労働力などの数多くの利点から、ベトナムは日本企業の投資チャンスや事業パートナーになり得るでしょう」と日本企業にアピールした。

視察団は最終日には、ハノイでチュオン・タン・サン国家主席とも会談。中古機械の輸入規制導入撤回などを申し入れた。