韓国-ベトナム、労働者派遣の覚書更新へ 違法な滞在者が懸念材料

労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)が、韓国と交わした労働者派遣の覚書が更新期限を迎えた。だが、ベトナム人労働者の中に、労働契約終了時に帰国しない者が存在することが、懸念材料となっている。

労働・傷病兵・社会問題省のファム・ミン・フアン副大臣はこのほど、ベトナム経済ニュース紙(VEN)の取材に答えて、韓国側が覚書を更新をしないのではという懸念をふまえ、「韓国の労働市場の門戸が閉じられるのを見るのは、非常に不本意だ」と違法に法滞在する一部のケースへの不満を述べた。

同省の統計によると、現在、韓国ではベトナム人労働者約7万人が働いており、5000人が留学している。今年1-10月だけでも、6662人の労働者が新たに韓国へ働きに出た。こうしたベトナム人労働者はすべて、ベトナム-韓国間で締結された「雇用許可制に関する覚書」にもとづいた、正規の労働者数だ。

覚書は2013年の末に調印され、1年間の期限付き。まもなく期限切れとなるため、両国政府は現状を分析・評価したうえで、今後も韓国へのベトナム人労働者派遣を継続するかどうか判断する。その決定で、韓国側が重要視しているのは、労働契約が切れたにもかかわらず韓国からベトナムへの帰国を拒否し、同国に違法に滞在するベトナム人の割合だという。今年の年初より、ベトナム当局は韓国国内に違法に滞在するベトナム人元労働者の帰国を促してきたが、違法な滞在・就労の十分な減少には至っていないようだ。

ベトナムにある韓国の労働許可雇用センター、チョイ・ビュンジー所長は、「利己的な一部の労働者のために、両国政府のせっかくの努力が厳しい状況に直面している」との見方を示した。また、 ファム・ミン・フアン副大臣も、「海外で働くベトナム人労働者一人ひとりが、自己の目指すところだけを追求するのではなく、国家に対する責任も感じるべきである。韓国国内のベトナム人労働者は一人残らず、ベトナム、そして現地の法律を厳密に遵守すべきだ」と違法な滞在者・就労者に強く警告した。

両国間の覚書が今年年末までに更新されないような事態となれば、韓国語を学んだり、語学検定を受けたりして準備している何千、何万人もの優良なベトナム人労働者たちが、韓国で働く機会を失うことになるため、両国の折衝が続けられているとみられる。(写真は労働者をイメージしたものです。記事に出てくる「違法な滞在者・就労者」と写真とは関係ありません)