デンマーク企業が協力 ベトナムの風力発電開発

デンマーク大使館主催の風力発電セミナーがこのほどハノイで開かれ、風力発電の設計、製造、販売を行う同国の企業、ヴェスタス (Vestas Wind Systems) は、ベトナムのパートナー企業と協力しながら、風力発電の効果的なソリューションを提供していくことを約束した。

熱帯モンスーン気候にあるベトナムの風力発電の潜在力については、世界銀行も高く評価している。事実、ベトナムは風力エネルギーの潜在力は、南アジア地域でトップクラスで、2020年の総電力需要の約10倍の約51万3360メガ㍗に上るとの概算もある。もし、ベトナムがフルに資金を投資して、こうした潜在力を活用することができれば、2020年までに1000メガ㍗、2030年までに6200メガ㍗の風力発電が可能となり、発電量に占める比率は2020年に0.7%、さらに2030年には2.4%に達する。

しかし、世界経済・政治研究所のファム・ティ・タン・ビン博士によると、ベトナムの風力発電開発は55メガ㍗にとどまっており、将来的に必要とされる数字からかけはなれている。その最大の理由のひとつは、金融的資源の乏しさだと指摘している。

デンマークのジョン・ニールセン・駐ベトナム・デンマーク大使によると、デンマークは30年間にわたってCO²削減を達成しながら、電力消費の増加なしに、経済成長を続けてきた。デンマークは、世界的な風力発電の先進国で、全電力の33%を風力でまかなっている。ヴェスタスの低コストで先進的な風力発電は、デンマークだけでなく、ベトナムにもエコで明るい未来を提供している。

ヴェスタスは2011年、3基の風車(V80-2.0メガ㍗級)によって年間2700万㌔㍗を発電するベトナム初の商業風力発電施設をビン トゥアン省(県)のフークィ島に建設した。同施設は2012年から商業利用が始まり、発電量は設備容量の59%に達している。

ベトナムは、膨大な電力消費によって急激な経済成長を遂げてきた。風力発電は、安全かつシンプル、安価で地球にやさしいエネルギーとして、ベトナムをはじめ世界的に注目されている。

ヴェスタス・アジア太平洋・中国のクリス・バフェット代表は、「われわれは、風力発電開発に注力してきたベトナム政府の努力を賞賛します。ベトナムにおける風力発電のパイオニアとして、これからも効果的な風力発電のソリューションを提供するとともに、ノウハウを共有していくことを約束します」と話している。

ヴェスタスに加え、デンマーク輸出信用機関や発展途上国への投資ファンドも風力開発の投資を募ることに協力、資金的な問題でつまずいたときには、投資家をサポートするとしている。