訪日したズン首相は、日本の主要な企業15社の幹部らと、意見交換した。ベトナム計画投資省とベトナム産業貿易商業銀行(べトインバンク)、ベトインバンクに出資している東京三菱UFJ銀行が企画した。

日本の主要企業トップらとズン首相の懇談は2013年にも行われており、今回で2度目。キヤノン、日立、ブリヂストンなどが参加し、ベトナムでの投資について、ズン首相に直接さまざまな質問や相談をした。

はじめにズン首相は、ベトナムのマクロ経済が安定的に発展していることを説明し、「インフレがうまく制御されていることから、今後さらに成長が期待される」と強調した。また、「この6カ月間の国内総生産(GDP)は前年同期比6.28%増加しており、年間を通じても前年より6.5%増を達成する見込みだ。これは、2011年以来の最も高い水準だ」と自信を見せた。

ベトナムはアセアン経済共同体設立にむけ努力を続けており、この末年には、自由貿易地域(FTA)が形成されることになる。域内の市場は約6億2500万人規模、国内総生産(GDP)が2兆5000億ドルに達する大経済圏となる。これを見据えて、ベトナムは環太平洋経済連携協定(TPP)締結のため、日本やアメリカとも話し合いを重ねている。また、55カ国と自由貿易関係を築いており、すでにG20メンバーのうち15カ国と自由貿易協定を締結済みだ。

懇談では、ベトナムと日本の関係についても高く評価された。現在、日本はベトナムへの政府開発援助(ODA)がもっとも多い国となっており、その金額は20年間で約270億ドルに達している。また、ベトナムにとって第3位の貿易相手でもあり、貿易の総額は300億ドルに達した。また、もっとも多額の資金を投資してきた国のひとつでもあり、投資総額は380億ドルにのぼる。

ズン首相は、今後の投資条件の優遇策を提案し、海外、特に日本からの投資家を誘致したい考えを示した。参加した日本企業各社からは、ベトナムの投資条件を評価する声が多くあがり、今後のベトナムへの投資拡大に期待が持てそうだ。