訪米中のグエン・フー・チョン書記長は7月7日、ホワイトハウスでオバマ大統領と会談した。チョン書記長は「20年前、ここでアメリカ大統領と対話することになるとは、誰が想像しただろう」と発言、ベトナムとアメリカ両国の歴史の新しい1ページが開かれたことを強調した。

写真㊤=在米ベトナム人らに出迎えられるチョン書記長=米・アンドリューズ空軍基地
ベトナムの共産党書記長がアメリカを訪れるのは、ベトナム戦争終結後初めて。今回の訪米は、ベトナム戦争終結と南部解放から40周年、ベトナムとアメリカの国交正常化から20年を記念して、米国からの招待で実現した。

オーバル・ルームでチョン書記長やベトナム政府高官らを歓迎したオバマ大統領は、「アメリカは、アジア・太平洋地域の一国として、ベトナムとの関係を大切にしていく」と強調した。また、「両国の利益と将来のために、関係を強化したい」との意欲を示した。

チョン書記長も、「ベトナムはアメリカと良好な関係を継続させたい。お互いの独立、主権を尊重し、内政に干渉しないかたちで、双方の信頼をさらに高めたい」と語り、オバマ大統領をベトナムに招待。オバマ大統領は感謝を示し、早期実現を約束した。

両国首脳は共同声明で、チョン書記長の訪米が、両国の安定、平和、繁栄発展のために、歴史的に重要な意味を持つとの考えを強調。また、ベトナムと米国が国交を正常化してからの20年間に、両国が過去にこだわることなく良好な関係を構築してきたことを評価し、今後も積極的に連携を強める考えを表明した。

会談では、両国が進めている環太平洋経済連携協定(TPP)について、交渉の進ちょくを評価。世界経済や地域の安定と成長のためにもTPPが必要であることを再認識し、「加盟各国の経済発展や政治・文化的な違いを互いに尊重することが、アメリカとアジア各国の協力関係促進につながる」とした。

一方で、取りざたされているベトナム国内の人権問題も話題にのぼり、ベトナム側は今後、両国で率直に話し合いたいとの姿勢を示した。

さらに、最近の東海(南シナ海)の問題については、地域の平和と安全、航海や航空の自由の維持が、アジア地域だけでなく世界的な懸念であるとの見方で一致。国連海洋法条約や東シナ海行動規範などを遵守し、今後、南シナ海行動規範(COC)を早期に策定することや、海域内での武力使用は避けることなどを確認した。

チョン書記長は、会談中、アメリカとASEAN諸国が戦略パートナーとしての関係を強化できるよう、ベトナムが仲介役を果たしていくとの考えも示した。また、地域内での平和や安全保障、経済、政治を調整するとともに、ASEAN地域フォーラム(ARF)や拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)、 APECフォーラムや東アジア首脳会議などの効果を実証し、2017年のベトナムAPECサミットを成功に導くために、米国の支援や協力を求めた。