TPP大筋合意、ベトナム経済にとって大きなチャンス

5日の環太平洋経済連携協定(TTP)の交渉大筋合意は、ベトナム発展につながるとの見方が強まっている。交渉に参加したブ・フイ・ホアン商工相は「多くの利益をもたらす歴史的な協定」と説明、農業農村開発省(MARD)も「農業発展の足がかりとなる」などと評価している。

ブ・フイ・ホアン商工相は、ベトナムのメディアに対し、「TPPはベトナムの経済、体制、社会などのあらゆる面において、我が国に多くの利益をもたらすだろう」と語り、強い期待感を示した。

具体的には、ベトナムのGDPが2020年には230億ドル、2025年には335億ドルまで増大するとの見方を示し、TPPがこの後支えとなるとの考えを示した。注目すべきなのは、米国や日本、カナダなどの大市場の輸入関税が撤廃される点だといい、「ベトナムの輸出活動に大きな機会を作り出すことになる」と評価。特に繊維、靴、水産加工品などは、輸出が大幅に増える可能性が高いとした。

また、TPPにより新たなサプライチェーンが構築されることも利点となるほか、社会的にも成長スピードを加速させ、雇用の創出や収入増、貧困撲滅に貢献できると期待が高まっている。


一方で、農業農村開発省( MARD)のハー・コン・トゥアン副大臣=写真=も記者会見で、「ベトナムの農産物輸出の中国依存が緩和され、新たな消費市場を切り開く手助けとなる」とTTPを評価した。

同省によると、中国が海外から輸入する農産品のうち、米の約35%、野菜・果物の約64%がベトナム産である一方、ベトナムは国内の牧畜産業に使う資材などでは約62.5%を中国からの輸入に頼っているのが現状だという。しかし、TPPによって、今後ベトナムは、より自国の有利になるよう、「農産物の輸出入の面での市場構造を変革できるようになる」と強調した。