チャン・ダイ・クアン国家主席は23日、ベトナムを訪問中のオバマ米大統領と会談、両国関係を深化させる具体策などを話し合った。両首脳らは、ベトナム米国間の包括協定や昨年7月に訪米したグエン・フー・チョン書記長との共同声明などを下敷きに、「二国間関係は順調に発展している」と満足感を示した。

クアン国家主席は、独立、自立、平和、協力、発展、国際関係の多様化といったベトナムの一貫した外交姿勢を示したうえで、ベトナムが米国との関係をより深めたいと考えていることを伝えた。

これに対して、オバマ大統領は、「初となるベトナム訪問に大変満足している」と話し、大統領訪越でベトナムとアメリカ両国の包括的な連携がさらに加速されるとの確信を示した。また、環太平洋経済連携協定(TPP)の米上院での承認を急ぐとした。

両国とも経済や貿易、教育と人材育成、科学技術、気候変動などの面でさらに協力し、二国間の結びつきを深めていくことでも一致。さらには、ベトナム戦争についても触れ、枯葉剤によるダイオキシンの除去、不発弾や地雷の撤去、人道的・社会的支援など、戦争がもたらした痛ましい被害への対処においても、お互いに協力すべきだとの認識を確認した。

オバマ大統領はこの会談で、ベトナムに対する武器禁輸の全面解除を宣言した。この決定は、ベトナム側に歓迎された。

地域的安全保障の課題では、二国の首脳は、地域内の平和と安全を重視する姿勢を示し、航行や海上往来の安全を保障し、万が一紛争が発生した際には1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)や南シナ海に関する行動宣言(DOC)を含めた国際法にのっとって平和的手段で解決を図り、南シナ海における行動規範(COC)の実現を目指すとの共通認識を示した。

また、気候変動への対応、特に干ばつと塩害、メコン川の水源の安全、テロ対策、核拡散防止、希少な野生生物の交易禁止、生物多様性の保護などといった地域的、世界的な問題に関しても、連携を強化し国際社会とともに努力をすることでも一致した。

オバマ大統領の訪越を機に、両国は共同声明を発表。平和や安定、協力、地域や世界の発展など両者の相互利益のために、二国間の包括的パートナーシップをより深め、より効率よく進めることで合意した。

会談後、両首脳らは、複数の経済協力提携や大口契約などの調印式に出席した。ベトナム企業と米国の企業、機関などが合意した案件は、11件にのぼった。

ベトジェット・エアは、米ボーイング社と新型旅客機の購入契約に調印したほか、米国の航空機用エンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニー社との間でも、63機の新世代型エアバス航空機(A320、A321)用のエンジンや、そのメンテナンスサービスの供与契約を結んだ。

また、ベトナム商工省と米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社が、ベトナムにおける風力発電システムの構築での協力で合意するなど、エネルギー分野の事案が7件で最も多かった。南部での干ばつ被害に絡んで、米越での共同施策も行われることとなった。