ベトナム・米国の共同声明 パートナーシップ強化を目指す

5月23-25にわたったオバマ米大統領のベトナム訪問で、会談したチャン・ダイ・クアン国家主席とオバマ大統領は共同声明を発表した。経済や安全保障などの幅広い分野で、両国の包括的パートナーシップを強化していく姿勢を示した。

写真㊤=共同記者会見に臨むチャン・ダイ・クアン国家主席=右=とオバマ大統領
経済関係促進の面では、両国が今後も、貿易、投資、テクノロジー、人材育成、気候変動対策などの各分野で、経済協力を促進させることを確認した。

環太平洋経済連携協定(TPP)が経済成長を加速させ、雇用の創出につながるなど、同協定が経済戦略において非常に重要な役割を果たすことに触れ、両国の投資や貿易を促進することを示唆。TPPの早期採択と、投資、経営発展の支援、知的財産、労働問題、環境保全などを含めた協定の完全実施を再度約束した。

安全保障の視点では、ベトナムと米国は2011年の防衛協力に関する覚書(MOU)及び2015年に発表した国防関係の共通ビジョンなどにもとづき、両国の国防協力の強化を約束した。

両国は、安全保障、国際犯罪との戦い、サイバーセキュリティーなどの分野での協力強化を約束した。ベトナムは、米国政府がベトナムに対して武器禁輸を全面解除した決定を歓迎した。

一方でベトナムと米国は、戦争被害や戦争にからむさまざまな人道的問題の解決でも協力してきたことを振り返り、満足感を示すとともに、今後も不発弾の探索を継続することで合意した。ダナン国際空港でのダイオキシン(枯葉剤)浄化の第一段階が成功していることなどを例に挙げ、ベトナムは米国の協力を歓迎した。一方の米国は、ビエンホア空港でのダイオキシン除去でも、ベトナムに協力するとした。

人権と司法改革の推進については、両国は国際社会への貢献や、それぞれの国の憲法に適合するかたちで人権を守る続けることを確約した。両者は人権に対する率直で直接的な対話の結果を高く評価し、特に2016年の人権対話を通じて両国間の距離が縮まり、信頼が築かれたとした。

さらにベトナムは、宗教や信仰、団体組織、行政などに関する法律の改正や新しい法律の制定などの計画をアメリカに伝えた。一方、アメリカは、ベトナムが法律システムの改善に力を尽くし、2013年憲法に適合するかたちで人権及び人間の基本的自由が確保されたことなどを歓迎した。

両国はまた、社会貢献、教育、医学などの分野で社会組織や宗教団体がアメリカとベトナムで果たしてきた貢献を確認。男女、人種、宗教、性的指向などを越え、障害を持つ人々も含めあらゆる人々の人権享受を確約するために、さらなる協力を奨励した。ベトナムと米国は、法執行機関と司法分野における支援に関する協定書を歓迎した。

共同声明ではこのほか、政治的・外交的な関係や長期的なパートナー関係の深化、地域問題や世界の課題の解決なども確認された。