ベトナムのフック首相、日本の安倍首相と協力強化で一致

ベトナムのグエン・スアン・フック首相とベトナムを訪問中の日本の安倍晋三首相は16日午後、ハノイの首相府で会談した。両首相は、幅広い分野で意見交換し、日越二国間包括的戦略パートナーシップを効果的に発展させるさまざまな計画で合意に至った。

写真㊤=安倍晋三首相(左)と握手するベトナムのグエン・スアン・フック首相

歓迎式典に続いて行われた首脳会談では、フック首相が、今年、ベトナムを訪問した最初の外国人指導者として安倍首相を歓迎。「ベトナムは一貫して、日本を主要な、長期的パートナー国と考えている」との認識を再確認し、両国が高官レベルの交流やさまざまな会合開催を通じて対話を効率的に進めていくことで、相互の政治的信頼をより強化していくことを合意した。

2月に予定されている天皇、皇后両陛下のベトナム訪問については、これを契機に、二国間の関係をさらに強めることを約束した。安倍首相は、フック首相を今夏、日本に招待する一方で、自身も今年11月にベトナム南中部、ダナン市で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)への参加と、全面的な協力を約束した。

国家防衛と安全保障に関しては、海中の機雷や魚雷などの除去や海洋法の順守強化などについて根本的な協力を推し進めることで一致した。

経済的側面では、貿易や投資の促進.政府開発援助(ODA)をはじめ、対象分野を農業や労働などにまで広げ、両国の経済的な関係強化を加速させると強調した。
特にODAに関しては、フック首相はインフラ整備や人材育成、気候変動対策などに焦点を当てたODAの継続を日本側に要望。安倍首相は2016年度中に約10億5000万ドルの追加融資を明言した。これらは、海上安全保障、気候変動への対策、廃水や廃棄物処理などの分野に分配される計画だ。

また、安倍首相は「日本は、ハイテク技術の応用や投資など経済的な結びつきを強化する一方で、観光や文化面でも日越の交流を促進したい」などと話した。

両国とも、「日越協力の枠組みにおける2020年に向けたベトナム工業戦略および2030年へのビジョン」や日越イニシアチブの第6フェーズを実現させることを約束し、これに向けてベトナムのビジネスの条件緩和などを整え、南北高速道路などのインフラ環境を整備することとした。そのうえで、ベトナムの地方自治体と日本企業トップらとの会談を通じて、投資関係強化が将来的に大きな価値につながるとの信念を共有した。

ハイテク農業や人材育成、市民による草の根の交流や協力についても、今後、より深めて行く考えを示したほか、日本を訪問するベトナム人の増加でも一致した。
貿易の分野では、安倍首相がベトナムのドラゴンフルーツの輸入受け入れを発表し、ベトナム側は日本産のナシの輸入を認可した。

さまざまな地域的・世界的な問題や懸念材料についても両首相は共有することで一致し、東南アジア諸国連合(ASEAN)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)、アジアヨーロッパ会議(ASEM)などの地域的な国際組織や国連などの世界的な会合の場などで、日越が相互に支援し合うことを確認した。安倍首相は、今年11月にダナン市で開かれる一連のAPEC関連行事についても、ベトナムの成功のための支援を約束した。