優秀賞にベトナム作品 日本の国際漫画賞

日本のサブカルチャーを代表する漫画の国際的な普及に向け、海外の優れた作品を表彰する第「10回日本国際漫画賞」(実行委員長:岸田文雄外相)の審査結果がこのほど発表され、ベトナムのカン・ティエウ・ヒー(Can Tieu Hy)さんの作品「Gateway to the Underworld(地獄門)」(原題:Dia nguc mon)が優秀賞(銀賞)を受賞した。

「Gateway to the Underworld」は、ある日突然、死後の世界に連れてこられた主人公の少女が、自分の死に納得できず、その理由を探り、生き返ることを決心する─というストーリー。作品には、作者の死生観などが盛り込まれている。審査員で漫画家の里中満智子さんは、「世界観が豊かで、命や死の意味を深く読者に問いかけてくる」と評価した。

ヒーさんは1990年生まれ。受賞について「とても驚いている。自分にとって、そしてベトナムの漫画界にとって、受賞を誇りに思う。ベトナムにはレベルの高い漫画家が多く、未来は明るい。今回の受賞によって、みんなが自信を深めるでしょう」と話している。

最優秀賞(金賞)には、ベルギーで出版されたフランス人漫画家、ジョエル・パルノット(Joël Parnotte)さんの「The Master of Arms(剣の師)」が輝いた。銀賞には、ヒーさんの作品のほか中国の漫画家、韓祖政さんの「scavengers(スカベンジャー)」、ベルギーで出版されたイタリア人コンビ、ローラ・イオリオ、ロベルト・リッチ(Laura Iorio & Roberto Ricci)さんによる作品「Heart of Darkness(闇の心)が選ばれた。

日本国際漫画賞は、2007年以来毎年、開催されており、今回は、55の国や地域から296の応募があった。授賞式は2月6日に東京で開かれた。