メキシコ政府は、コメ15万㌧を関税ゼロで輸入することを決めた。国内需要を満たすことや、米国に依存してきた供給先の多様化を図るのが目的だ。世界有数のコメ輸出国であるベトナムにとって、大きなチャンスとなりそうだ。

メキシコ政府によると、今回の輸入は2017年中に実施される見通しが高い。メキシコのコメの生産高は2012年から16年にかけて、毎年8%以上増加している。それでも、国内の需要を満たしてはおらず、需要の82.6%に頼っている。商工省によると、メキシコは自由貿易協定を結んでいる米国とウルグアイからコメを輸入しているという。

ベトナムは、インドとタイに次ぐ世界第3位のコメ輸出国。今回のメキシコの輸入計画は、高い関税に苦しんできたベトナムのコメ輸出業者にとって、願ってもないチャンスといえる。

アメリカの米産業を代表するUSAライス連合会によると、ベトナムは2014年に6万7千㌧のコメをメキシコに輸出しており、前年から1万2千㌧増加したという。ベトナムのコメの輸出が、すぐに増加することはないが、年間80万トンに上る米国の輸出が減る見通しとなり、市場は色めき立っている。

ただ、米国の貿易業者によると、現在の価格差では検疫問題など輸出上のリスクなどの点から、アジアのコメが今すぐ米国産にとって代わることはないだろうとしている。

ベトナムの今年1~2月のコメの輸出は、推定約78万トンで、前年同期比では量で約18%下落している。こうしたなか、ホーチミン市の外資系企業で働くベトナム人の貿易業者は「メキシコの計画は、量は決して多くないが、ベトナムへの追い風となるだろう」と話している。