フック首相、トランプ米大統領と会談 米越の関係強化を確認

アメリカ合衆国を公式訪問していたベトナムのグエン・スアン・フック首相は5月31日(現地時間)、首都ワシントンDCのホワイトハウスで、ドナルド・トランプ米大統領と会談した。両国首脳は、米越の関係を強化していくことで一致した。

ホワイトハウスでトランプ大統領に出迎えられたフック首相は、ルーズベルト・ルームで来訪者用の芳名帳に記帳したのち、トランプ大統領と約15分にわたって会談した。

会談の後はベトナム訪問団とともに大統領執務室へ案内され、両政府の高官らを交えての意見交換が行われた。ここでトランプ大統領は、米国がベトナムと米国の関係を重要視していることをフック首相に告げ、「今後も、両国の関係がさらに強化されることを望む」と強調した。

両国の首脳は、さまざまな分野でベトナムと米国の相互理解やパートナーシップ関係が順調に発展していることに満足感を示しながらも、「さらに両国の関係を強化する機会や余地が残る」との見方で一致した。

ベトナム-米国関係の安定について、国連憲章と国際法のもと、相互の独立性と尊厳、領土と政権に従い、安定的、長期的に発展させる努力を継続するとの方針を確認した。また、これらの努力が、二国だけではなく、「アジア太平洋地域と世界全体にも平和と安定、協力、発展をもたらす」と評価した。

そのうえで、懸案となっていた経済的側面でも、「『ウィンウィン(相互利益)の関係』を構築していく」ことで合意し、ベトナムと米国間の経済貿易発展の協力が最大の焦点となっていることを強調した。

ベトナム側は、自国経済の再構築と経済的な国際統合をつき進めることを確約。そのうえで、フック首相は、補完しあう両国経済を存分に活用できるよう、生産から消費までをつなぐバリューチェーンの早期確立を求めた。

一方の、トランプ大統領は、ベトナムと米国の間で、農産物、工業製品、情報技術(IT)関連の製品やサービスなどを含め、最重要課題であったいくつかの貿易問題について、解決が図られていることを喜んだ。二国間の経済課題を建設的で公平な手法で、双方の法的利益を損なうことなく解決するために、貿易投資枠組協定(TIFA)の実行で両者が一致した。

また、人道的支援や戦後問題の処理、草の根交流、科学技術や教育トレーニング、保健衛生、防衛と安全保障などのさまざまな側面での協力強化も約束した。

会談で、フック首相は「米国とベトナムは、アジア太平洋の平和や安定、協力や発展について、同じ考えを共有している」と説明。今秋、ベトナムで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)や東アジアサミットなどについても、米国と緊密に連携していくことを確認。フック大統領がベトナム政府を代表し、APECに合わせて、トランプ大統領をベトナムに公式招待した。

米国側は、米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)との戦略的パートナーシップを促進する努力を続けることを約束。トランプ大統領は「APEC首脳会談でベトナムを訪問することを楽しみにしている」と笑顔で付け加えた。