フック首相、日本企業と会談 投資カンファレンスに出席

日本公式訪問中のベトナムのグエン・スアン・フック首相は5日、安倍晋三首相とともに「ベトナム投資カンファレンス」に出席した。日本企業と、ベトナム省庁、地方自治体、企業との間で、総額約220億ドルに達する契約や投資許可などの調印を見届けた。

カンファレンスは、日本貿易振興機構ジェトロ(JETRO)が、ベトナム計画投資省、東京三菱UFJ銀行、ベトナム国営商銀大手のベトインバンクなどと協力して開催した。ベトナムへの投資を促進するイベントとしては、過去最大規模となった。

開幕式典で講演したフック首相は、ベトナムに進出した日本企業の9割が、「ベトナムでの事業拡大が自社利益の拡大につながると考えている」とした最近のジェトロ報告を引用。「日本は、ベトナムが信頼する戦略的なパートナー国。今後も関係を強化したい」と強調し、エレクトロニクス、農業機械、農産物加工、造船、省エネ、自動製造技術などの分野で、日本側の投資を呼びかけた。

会場ではベトナム代表団約200人を含め1600人に及んだ参加者に、積極的に話しかけ、「日本とベトナムの間の親密で信頼の厚い協力体制がさらに発展するだろう」と強調した。

ベトナム側が特に重要視しているのが、運輸やインフラ整備、農業、貿易、観光や建設などの分野での、ベトナム国営企業への投資だ。国営企業の株式会社化に合わせて、企業買収や合併(M&A)などを視野に入れた投資を日本側に求めた。投資家に対しては、ベトナムが政治的、社会的安定とマクロ経済の発展、国際社会と足並みをそろえた法整備や透明性の改善、国際基準の適用などを推し進めていることを強調して伝えた。

さらに、フック首相は、ベトナムと日本の間での自由貿易協定をひとつのチャンスとしてとらえていることにも触れた。協定のもとでは、日本へ輸出されるベトナム製品の平均課税率は、2018年に2.8%に引き下げられる予定で、日本製品に課せられる輸入税率も7%に下げられることになる。

日本の安倍首相は、「ベトナム側は、インフラ整備のプロジェクトや投資環境の改善、人材育成などの分野で、今後、日本企業がベトナムに投資、進出するさいに、手厚い支援を提供してくれることだろう」と話した。また、日越間の自由貿易を推し進めるために今後の協力を強化し、ベトナムで今年秋開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC2017)も支援する考えを述べた。

この日参加した日本企業からは、ベトナムの工業生産における部品などの現地調達率の改善、裾野産業の発展、インフラ整備、小売市場の拡大などに関する提案が行われた。