グエン・スアン・フック首相、タイ公式訪問 共通点活かし、協力強化へ

ベトナムのグエン・スアン・フック首相は、タイのプラユット・ジャンオーチャー首相の招きに応え8月17日から19日まで、夫人とともにタイを公式訪問した。ベトナムとタイの外交関係樹立41周年を記念(1976年8月6日~2017年8月6日)した訪問で、特別な意義を持つ外交となった。(ハイ・リン)

ベトナムとタイの友好関係は、8世紀の通商活動を起源に始まり、その後、長年にわたって継続されてきた。東南アジア地域において、文化やライフスタイルなど、数多くの共通点がある近隣の2カ国の関係は、変遷しながらも、深化し、緊密になっている。中でも、ベトナムのホー・チ・ミン元国家主席が1928年7月から1929年の年末まで、タイの複数の地方に住み、仕事をしたことから、タイの人々や政府、タイで暮らすベトナム系の人たちには、ホー・チ・ミン元国家主席に対する特別な思いがある。こうした思いは、現在も大切されており、ベトナムとタイ両国の長年にわたる密接な友好関係に貢献している。

ベトナムとタイはASEAN(東南アジア諸国連合)の協力において、重要な役割を担っている。フック首相のタイ訪問は、両国にとって、▽戦略的パートナーシップの活動計画(2014年~2018年)の効果的な実施▽要人の相互訪問の増加▽安全保障や国防、貿易、投資、就労などにおける協力体制の積極的な展開-などのきっかけになるとみられている。

戦略的なパートナーシップ関係が正式に樹立された2013年以降、小規模だった両国間の貿易は発展し、現在はASEANの中で、ベトナムはタイの第2位の貿易相手国、タイはベトナムにとってASEAN内で第1位の貿易相手国になっている。2016年の双方の貿易額は125億ドル(USD)に上った。両国は2020年までに年間の双方の貿易額200億ドルを目指している。

タイは、ベトナムの主要な貿易相手に留まらず、ベトナムが外国からの投資を誘致する政策を開始した時からの投資国だ。2017年3月までで、タイからのベトナムへの投資は485案件、認可額は81億9000万ドルに達しており、ベトナムに投資する115国・地域のうち、10位になっている。両国の経済、貿易、投資における協力関係はそれぞれの国の繁栄のみならず、ASEAN共同体の共通の発展に貢献していると言えるだろう。

また、ベトナム、タイ両国の人々の交流は重要で、「金の寺の国=タイ」に住むベトナム系の人たちは両国友好の「架け橋」を担っている。現在、10万人以上のベトナム人が東北地域をはじめ、タイの様々な地域に住んでいる。1998年以降、タイは定住するベトナム人のために書類や国籍の問題を解決する政策を打ち出した。また、タイはベトナム系の人たちが独自の文化的な生活が出来るように協力し、ホー・チ・ミン元国家主席を記念する4つの史跡の建設などを許可した。タイで暮らすベトナム人は、タイ政府の合意の下、自分たちの組織「タイ全土 ベトナム人総協会」を創設。同協会はベトナム人同士の交流に寄与するとともにベトナムとタイの国民の相互理解や友好親善の強化に貢献している。

今回のフック首相のタイ公式訪問は「ベトナムの対外政策が、国際社会の統合に積極的に参加するものであり、同時に地域内の国々を重視し、それぞれの国々との関係を強化させることを最優先させる」ことを示したと言えそうだ。相互理解や信頼、発展のための協力体制、そして、潜在力を有するベトナムとタイの友好関係は、双方の国民にとって利益をもたらし、東アジア地域と世界の平和と安定、発展に新たな力をもたらすだろう。