数学、物理学の研究拠点 ユネスコと設立合意

ユネスコのイリナ・ボコヴァ事務局長と、ベトナムのチュー・ゴック・アイン科学技術相はこのほど、数学、物理学研究と大学院生教育を目的とした数学国際センターと物理学国際センターの設立に合意した。これら2つのセンターは、ベトナムとASEAN(東南アジア諸国連合)における科学、技術研究の強化、国際的な知識の共有とともにアフリカなど発展途上国への協力の一端を担う。

センターの設立は、2011年からの10年間を計画年とし、世界基準の研究機関設立などを目指す国の科学・技術発展戦略に沿った施策の一環。ボコヴァ事務局長は、「ベトナムは教育、科学的な国際協力、研究への投資に重点を置くという確固たる選択をし、知を基盤とした知識経済活動と社会の発展に関わることとなった」と称賛した。

ユネスコの賛助のもとに進められるこれらのセンターの設立によって、国内はもちろんASEAN諸国における科学や技術、技術革新の強化、知識の共有などが進むことが期待されている。発足後は、ユネスコの国際基礎科学計画(IBSP)や理論物理学国際センター(ICTP)、その他の科学組織の国際研究プロジェクトへの参加が予定されている。

ユネスコの科学センターには2つのカテゴリーがあり、カテゴリー1は研究のために発展途上国から研究員を受け入れることなどを目的としている。今回、ベトナムで設立されることになったのはカテゴリー2で、ユネスコと協力して地域、国際研究や高度な教育を行う専門性の高い活動を行う。カテゴリー2センターの運営は、設置国の政府が責任を負い、ユネスコ総会でユネスコの協力機関として承認される。

アイン科学技術相によると、ユネスコの理論物理学国際センターで進められている教育・研究プログラムにはすでに、ベトナムの数学者や物理学者も参加している。今回のセンターの設立によって、ユネスコの目指す基礎科学発展の一端を担うとともに、アフリカなどへの支援や協力を進めていきたいとしている。アイン科学技術相は、センターの効率的運用とユネスコの国際プログラムへの参加が確実に遂行されるように、さまざまな環境や労働条件を整備することを約束した

ユネスコは98分野におけるカテゴリー2の研究所を賛助している。ベトナムは、マレ―シア、タイ、インドネシアに続きASEANで4番目にユネスコ賛助の科学センターを有する国となった。