ダボス会議出席のフック首相 WEFブレンデ総裁と会談 「ベトナムは成長持続に尽力」と約束

スイスのダボスで開催されていた世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で、24日、ベトナムのグエン・スアン・フック首相は、WEF総裁のボルゲ・ブレンデ総裁と会談した。テーマは「ベトナムと世界」。世界の財界人や各国首脳らが集うダボス会議で、ベトナムについての個別セッションが設けられたのは初めてで、世界におけるベトナム経済の注目度を物語った。

会談の冒頭で、ブレンデ総裁は、ベトナムが昨年主催国となったASEAN経済フォーラムについて、「ASEAN地域と世界に向けて有意義で重要なメッセージを発信した」と、会合の成功を称えた。また、「その発信は、ASEAN地域の重要性を世界に再認識させ、ベトナムの国際的な地位向上にも大いに役立った」とした。また、世界的サプライチェーンに参入するために、ベトナム政府が、生産性の向上に力を注いでいることも高く評価した。

フック首相は、「2018年に、世界は数知れない難題や予測不能な変化に直面した。しかし、ベトナムはGDP(国内総生産)7.1%増を維持し、世界でもっとも成長の速度が速い国の一つとなっただけではなく、質の面でも実質的な成長をとげた」と話した。

一方、2019年については、フック首相は「ベトナムはさらに強力に、包括的に、持続可能なかたちでの成長を続ける努力をする」との決意を語り、「成長に取り残される者がいないようにする」と宣言した。また、その目的達成のため、人材教育に注目し、第4次産業革命を活用しながら、投資やビジネスの環境を改革して、国内外からのさまざまな分野での投資を強化させると約束した。

また、世界的な貿易摩擦をにらみ、「世界経済と統合しつつ、自由な多国間貿易を支持する」との姿勢を明らかに。「投資家の信頼を得るために、もっとも重要な要素であるマクロ経済を安定させたい」とした。

第4次産業革命についても話題にのぼり、「ベトナムが迅速に、持続的に発展するための最善の手法だ」との考えを示し、今後は生産性を向上させるための積極策を取るとした。

ベトナムは人口が若く、ダイナミックで創造性に富んでいること、また、前進しようとの覇気があることなどを挙げ、「第4次産業革命に参加するにあたっての利点となる」としたベトナム政府は現在、第4次産業革命についての国家的戦略を構築し、国立のイノベーション拠点の設立準備を始めた。設立にあたってはWEFとも協力しており、そのような事例はASEANでも初めての試みとなるという。

最後に、ブレンデ総裁は、フック首相に「ベトナムは今後5年間、どのようなかたちで世界を驚かせることになるのだろうか」と質問した。

フック首相は「ベトナムは5年後も、発展への願望と意欲を持ち続けているだろう」と回答。具体的には、成長傾向の維持、人々の生活水準の向上を実現するとともに、法律や政策決定における改革を進め、外国企業などにとって信頼でき、魅力的な投資先であり続ける努力をするとした。

フック首相は同日、複数のIT企業大手幹部らとのワーキングセッションにも臨み、ビジネス環境を改善し、改革に向けた障壁排除の努力を怠らないことを約束した。