米朝両首脳がハノイ入り 金正恩氏、歓迎に「ベトナムに感謝」

第2回米朝首脳会談出席のため、ベトナムに到着した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、ハノイで市民や関係者らの歓迎を受けた。正恩氏は、「長旅を経て到着したベトナムで、温かく情熱的な歓迎を受け、感謝している」と述べた。ベトナム側代表として、ドンダン駅で出迎えたマイ・ティエン・ズン官房長官が伝えた。

トランプ大統領との会談は27日夜、正恩氏と1対1で行われる予定。その後、両首脳と側近が夕食会を行う。滞在中、正恩氏は、グエン・フー・チョン党書記長兼国家主席とも会談する予定。

正恩氏ら北朝鮮からの訪問団一行は、26日正午前、一行の拠点となるハノイ市ホアンキエム地区のホテルに到着した。一行には、米国との会談で主要交渉役となるとみられる金英哲党中央委員会副委員長や、正恩氏の妹、金与正・党第1副部長らが含まれていた。

米朝首脳会談は、昨年6月にシンガポールで開催されて以来8カ月ぶりとなる。正恩氏は、27、28日に米国のドナルド・トランプ大統領と会談する予定で、朝鮮半島の非核化などについて協議するとみられる。

世界的な関心を集める会談に、ハノイには世界40カ国の200の報道機関から、3000人近い報道関係者が集結した。また、ベトナム国内の報道陣の数も550人にのぼった。

北朝鮮とベトナムの関係は古く、1950年、中国と旧ソ連に続き、もっとも早期に国交を樹立した国のひとつだ。ベトナム戦争(抗米救国戦争)中は、北朝鮮から数百人の軍人航空兵らが送り込まれたほか、1960年~70年代にかけては、多くのベトナム人学生が北朝鮮で訓練や教育を受け、セメントや鉄鋼、医薬品などが北朝鮮から輸入されていたという歴史もある。一方、ベトナムも1994~2012年まで、複数回にわたって北朝鮮に米や現金の援助を行なっている。

ベトナムのホー・チ・ミン元国家主席は1957年に北朝鮮を訪問。北朝鮮の故・金日成主席も2度、訪越しており、ベトナムと北朝鮮両国の関係は、堅固なまま維持されている。

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一方のドナルド・トランプ米国大統領も26日夜、ハノイのノイバイ国際空港に到着した。北朝鮮人民共和国との首脳会談に臨むほか、米越2国間のさまざまな活動にも参加する予定という。


出迎えるマイ・ティエン・ズン官房長官と握手するトランプ大統領=㊨(26日夜、ハノイ市ノイバイ国際空港)

空港ではズン官房長官のほか、ブイ・タイン・ソン外務副大臣、ハノイ人民委員会のグエン・ズック・チュン委員長、ブイ・バン・ナム公安副大臣、ハー・キム・ゴック在米国ベトナム大使らが出迎えた。

米国のマイク・ポンペオ国務長官とホワイトハウスのミック・マルバニー主席補佐官代行が、大統領に随行した。

ハノイで開かれる第2回米朝首脳会談は、ベトナムの外交や政治の重要イベントの一つとなることは間違いない。ベトナムは、安全保障面や警備を含め、この重要な国際会談のための準備を、ごく短い時間で成し遂げた。開催は、ベトナムが各国からの信頼が厚い友好国であり、世界の平和を願う国際社会の重要な一員であると、世界にアピールする好機となるだろう。