取引監視・投資家保護の強化へノウハウ提供=JICA、証券市場の発展を支援

 【ハノイ時事】国際協力機構(JICA)は、ベトナムの証券当局・取引所による市場監視や上場審査、投資家保護に関する能力強化支援事業を、2022年3月まで実施する。日本の経験やノウハウを提供して証券市場の透明性・公正性の向上を促し、国内・内外の資金を呼び込んでベトナム経済の発展につなげる。ベトナム政府が重点課題と位置付ける国有企業の民営化(株式会社化)や、民間企業の振興を後押しする狙いもある。

 事業の一環として20日、事業の重点目標などを説明するセミナーがハノイのホテルで開かれた。ベトナム国家証券委員会のチャン・バン・ズン委員長は、課題として(1)不公正取引に対する市場監視(2)証券会社の監督(3)上場基準・上場管理(4)企業の投資家保護意識-の向上・強化を挙げた上で、「ベトナム証券市場の持続的発展に寄与することを期待する」と語った。
 金融庁の川辺英一郎参事官は、バブル崩壊や不良債権処理、不公正取引の摘発といった日本の歩みと当局の体制整備について講演した。その中で、証券市場の活性化が「企業の持続的成長を支え、国民の健全な資産形成の可能性も広げる」と述べた上で、透明性・公正性の確保が重要と強調した。
 川辺参事官は、相場操縦やインサイダー取引などの不正行為は「放置すると、投資家の市場に対する信頼が失われる」と述べ、禁止事項の構成要件を明確化することが不可欠と指摘。さらに、インターネット交流サイト(SNS)などで虚偽の情報が流布する現状を踏まえ、日本では「SNSのやりとりを人工知能(AI)で解析し、投資家をあおって株価をつり上げておいて高値で売り抜ける行為を阻止することを検討している」と紹介した。
 ベトナム政府は、ホーチミン、ハノイ両取引所の統合や証券業界の再編をはじめとする証券分野の改革に取り組んでいる。また、国有企業の民営化を進めるため、投資家の需要をみて株式公募価格を決める「ブックビルディング(需要積み上げ方式)」の導入なども準備している。