CPTPP発効、日本向けベトナム水産品の輸出好調=今年1~4月期

ベトナムでは、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)が今年1月に発効されて以降、水産品の輸出が好調だ。これらの製品は、CPTPP参加国の市場でさらなる普及が期待される。

ベトナム水産輸出加工協会(VASEP)によると、CPTPPの参加国である日本、カナダ、オーストラリア、シンガポールなどへの水産品の輸出では、良い成果が上がっている。

今年1~4月期で、EU、米国、中国、韓国へのエビの輸出は、昨年同期比で2桁減少したが、日本への輸出は7.3%の下落にとどまった。ベトナムにとって日本は第2のエビ輸入国であり、エビの輸出総売上高の19.2%を占める。また、日本へのナマズの輸出も38.6%伸び、売上高は858万ドル(約9億2400万円)に達した。

同じ時期、カナダへのエビの輸出額は3760万ドル(約40億5100万円)で、昨年同期に比べて4.8%の上昇。VASEPによると、カナダへのエビの輸出は、CPTPP参加国ではないインド、タイ、インドネシアより有利な立場にあるという。

また、CPTPP参加国のチリも、水産品の関税引き下げを受けて、ベトナム産エビの輸出先として潜在力を持つ。今年の第1四半期で、チリへのエビの輸出額は71万2400ドル(約7600万円)となり、昨年同期の4万5500ドル(約490万円)をはるかに上回った。

さらに、チリでは、ナマズの輸出も増加しており、冷凍のナマズやバサの切り身は、チリの流通を通せば輸入関税がゼロになるため、チリだけでなく、周辺各国でも関心が高まりそうだ。VASEPは、「CPTPPによって、ベトナムの水産物は、より要求の厳しい市場への参入が可能になった」と話している。

しかし、こうしたチャンスとともに、CPTPPは厳しい現実も突きつけている。具体的には、多くの技術的な障壁や厳格な品質基準、原産地規則であり、そのためベトナム企業は、競争力を磨き、変化に迅速に対応できるよう市場情報をこまめに収集していく必要がある。