円借款活用し初の衛星輸出=ベトナム向けで200億円-住商

 【ハノイ時事】ベトナム政府と住友商事は18日、天気、気候変動の観測・監視や防災に活用する地球観測衛星の納入契約に署名した。今回、契約を結んだプロジェクトの事業費は200億円程度。日本政府は政府開発援助(ODA)で支援する構えで、円借款を活用した初の衛星輸出となる。

 地球温暖化に伴う豪雨といった自然災害の多発は、インフラ整備が不十分なベトナムなど開発途上国にとって大きな脅威。日本政府は優れた先端技術を持つ日本企業と円借款などを通じて連携し、ベトナムの防災・温暖化対策を後押しする。
 住商は、レーダー技術を使った地球観測衛星「ロータスサットワン」と衛星の打ち上げ、データを受信する地上施設の整備などを受注。衛星の製造は、NECが担当する。2023年中に、日本での衛星打ち上げを目指す。
 日本の衛星輸出はこれまで、通信分野で実績があるものの、地球観測分野では初めて。ベトナムにとっても、レーダー技術を使った観測衛星の導入は初めてとなる。
 日本の官民は地上施設の整備に加え、データ分析などを行う人材の育成も支援する。国際協力機構(JICA)はこれまでに、70億円の支援を実施。今後、円借款の実施に向けた調整を本格化させる方針で、プロジェクト全体の事業費は500億円規模になるとみられている。
 署名式に同席した梅田邦夫駐ベトナム日本大使は、「この衛星はベトナムの将来にとって必ず役に立つ」と強調。経済産業省の浅井洋介宇宙産業室長も、「今回のプロジェクトがベトナムと日本の宇宙協力の象徴になる」と述べ、人材育成を含めた日本の支援でベトナムの宇宙関連技術が向上することを期待する考えを示した。
 ベトナムのチュー・ゴック・アイン科学技術相は「宇宙を含めたハイテク分野は、ベトナムの科学技術の発展で優先課題に挙げられてきた」と説明。「プロジェクトの成果が今後の宇宙戦略の開発で、重要な基盤になることは間違い」と語った。