第51回ASEAN経済大臣会合(AEM 51)に関連して、今年9月3-10日、バンコクでいくつかの関連会議が行われた。アセアン加盟10カ国と関係各国の経済相らが、域内外の経済や貿易、投資などを話し合い、一部の内容は、先日開催された第35回ASEANサミットでも提案された。これらの会合で、ベトナムは積極的な発言で、来年度のアセアン議長国としての存在感を示した。

関連会議には、第33回アセアン自由貿易地域(AFTA)評議会や、第22回アセアン投資地域(AEM AIA)経済大臣評議会などのほか、アセアン諸国以外の各国との会談も含まれた。さらには、注目を集めた第7回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)閣僚会合、第11回日メコン経済大臣会合、第11回カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム経済大臣会合(CLMV 11)などが開催された。それらの会合で、ベトナムは来年度のアセアン議長国としてのリーダーシップを発揮した。

アセアン経済大臣会合(AEM 51)とCLMV 11、ベトナム代表団を率いたのは、チャン・トゥアン・アイン商工相だ。AEM 51の参加各国は、加盟10カ国の現在の議長国であるタイが提案した、「アセアン域内の経済と貿易の協力」について話し合った。

写真㊤=ASEAN経済大臣会合で取材に応じるチャン・トゥアン・アイン商工相

参加各国の大臣らは、2025年までにASEAN経済共同体を構築するという最終目標に向け、消費者や知的財産の保護、電子商取引の開発支援などに焦点をあて、2019年の優先事項の実施や、アセアンが実施すべきロードマップを検討した。また、中小零細企業の支援、世界的なサプライチェーンの構築に向けて民間企業の参加と貢献の促進、さらには加盟国間の経済発展の縮小なども議題にのぼった。

また、アセアンと、インド、中国、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドとの自由貿易協定(FTA)締結や、将来的な経済発展計画なども検討された。カナダ、ロシア、米国とアセアン諸国との協力や、関係強化なども議題にのぼった。

◇RCEP妥結に向けて
第7回RCEP閣僚会合では、昨年11月、シンガポールでの第2回会合の目標どおり、年内でのRCEP妥結を目指すとした。

開会式典で取材を受けたアイン商工相は、アセアンサービス貿易協定(ATISA)に署名する意思を明らかにした。アセアンに加盟してからの24年間で、同地域はベトナムの主要貿易相手に成長している。ベトナムがAFTAに加盟した1998年当初にはまだ59億ドルだった貿易総額は、2018年には9.5倍の563億ドルにまで増加。このうち、アセアン諸国へのベトナムからの輸出は245億ドルに達し、輸入額は318憶ドルとなった。経済成長の側面でアセアンから受ける恩恵に加え、この地域の経済統合は、輸出製品の幅が広がるなどベトナムの輸出にも前向きな刺激を与えている。また投資を招くと同時に、ベトナムのアセアン地域各国への投資増大にもつながっている。

アセアン域内の経済統合は、民間企業が新しい技術にアクセスし、高度な企業経営の経験を得る機会を創出したうえ、労働者の技術向上や競争力の強化につながった。また、ベトナムの制度整備も進み、透明で開かれたビジネスや投資環境がより透明で開かれたものとなるため、国内政策や手続きなども改善された。

◇次回アセアン議長国として
ベトナムは2020年、アセアンの議長国となる。1年を通じて、首都ハノイや第一の経済都市であるホーチミン市、南中部沿岸地方のダナン市などで、約150の国際会議が開催される予定で、アイン大臣は「議長国の役割を果たすために、ベトナム商工省が関係各省と協力し、来年に向けた準備を進めている」との決意を述べた。

アイン商工相が特に重要視するのが、小規模の経済圏としてのベトナムの発信力だ。今回のCLMV11では、地域のバリューチェーンに積極的に参加する姿勢や、他のアセアン諸国との間の経済格差を縮小するための活動などで、4カ国間が協力する体制を固めておくことの重要性を再認識した。「4カ国が調整と協調を強めて『メコン川流域』としての共通認識を発信し、流域内の利益を守るべきだ」とアイン商工相は語った。さらに、来年のアセアン主要会議の前に、4カ国が交通インフラや物流などの充実において協力し、同時に貿易や投資、観光促進などの活動でお互いを捕捉しあうよう促している。