中国との陸路国境貿易停滞に商工省が対策 手続き簡素化や情報発信など

ベトナムと中国の国境貿易の拠点となっているランソン省で、先月、輸出用のドラゴンフルーツを積載した何百台ものトラックが足止めされ、輸出が滞る事態が発生した。中国を中心に、隣国各国が輸入規制を強めるなか、ベトナムの国境貿易の効率の悪さや不安定さが、露呈した格好となった。

国境に隣接各省からの報告によると、中国とのベトナムの貿易のうち、陸路経由が25~30%を占めるという。今年1~9月の二国間の陸路による貿易額は約194億3100万ドルで、昨年同期と比べ約10.5%増加している。

商工省貿易局のチャン・タイン・ハイ副局長は、「ベトナムと中国との二国間貿易の促進に貢献しているものの、陸路で国境を越えて品物をやり取りする貿易はまだ不安定で、海路や空路での貿易に比べ効率が悪い」と話す。輸送コストが安価に抑えられる利点があるものの、主要貿易国である中国が、品質管理や食物の安全面、衛生面での管理、そして検疫を急速に強化していることが一因だという。

ベトナムと中国の陸路での国境貿易では、ゴム、キャッサバ芋やデンプンなどの農産物や加工品、コメ、砂糖、材木などのほか、果物や海産物などの生鮮食料品なども多く流通。スイカなどの季節ものの果物を積載したトラックがなかなか検疫を通過できず、輸出できなくなった品物が国境地域に廃棄されるなどの問題が毎年頻発し、政府が対応を求められていた。

そこで、ベトナム政府は政令14/2018/ND-CP号など、国境貿易管理にかかわる法律を強化し、より安定した持続可能な中越の国境貿易確立に力を入れ始めた。また、中国だけでなく他の隣接国とも、中長期的な国境貿易発展のための方向性を探っている。

商工省では、国境貿易管理の効率アップのため、現状分析を進め、さまざまな措置を実施するため、他の関連省庁や部局、そして地域行政と調整していくとした。 また、行政改革を促し、輸出入の管理手続きの簡素化▽不必要な手続きの省略▽国境貿易や検疫に関する情報発信の活性化―などによって、国境地域と生産地域、また、生産者と輸出業者との橋渡しを行う考えだ。

国境に隣接する省では、地元政府と省庁などが政策などに基づいて、率先して組織的な貿易活動や管理を展開し、あらゆる方面から国境貿易の管理を強化していくという。また、国境貿易にかかわるインフラについてのデータベース構築や、輸送、物流関係のインフラ開発への投資誘致に向けた提案なども実現を目指す。