ベトナムASEAN加盟、四半世紀 節目の2020年も経済圏発展に尽力 アイン商工相インタビュー

2020年の一年間、ベトナムは、10カ国が加盟するASEAN(東南アジア諸国連合)の議長国だけでなく、国連安全保障理事会(UNSC)の非常任理事国も務める(任期2021年まで)。ベトナム・エコノミック・ニュース(VEN)はこの重要な1年の展望について、テト(旧正月)を機に、チャン・トゥアン・アイン商工相にインタビューした。

―ベトナムとASEANの間の経済協力について、どのように評価するか。また、ASEANとの良好な関係は、今後ベトナムにどのような恩恵をもたらすと考えるか。

アイン商工相 : ベトナムは米国の禁輸措置解除後、1995年にASEANに加盟し、包括的で幅広い改革の道を歩み始めた。さらに翌96年にはAFTA(ASEAN自由貿易協定)にも加わり、関税が98%引き下げるなど経済市場の門戸も開いた。

いまではベトナムは、ASEAN域内で、政治面だけでなく、貿易や外国投資などの分野でも主導的な役割を担うようになっている。我々は、統合的な戦略を追及し、海外へと門戸を開いている。

ASEANとAFTAへの加盟は、第7回ベトナム共産党大会の決議を実現するための第一歩であった。また、多国間の良好な関係維持や、多様性の容認などを土台としたベトナムの対外関係戦略を強調し、経済協力を国の重要な基盤として確立したできごとでもあった。さらに、それに続く年月でのベトナムの努力は、ベトナムの統合戦略や海外諸国との関係樹立、経済的発展の礎となっている。

ASEAN、AFTA加盟後の四半世紀で、ベトナムは世界との統合を果たし、国際的役割や任務を務めあげてきた。この2つの国際協定は、ベトナムがさらなる高みへと登るための重要な土台や足掛かりになったと思う。

貿易面でいうと、ASEAN諸国はベトナムにとって最も重要な貿易や投資相手であると同時に、政治的パートナーでもある。AFTA加盟の1996年、ベトナムの域内諸国との貿易は59億ドルだったが、2018年には当時の約10倍近い56億3000万ドルにまで増えた。対ASEAN諸国とベトナム間の貿易は、まだ赤字ではあるが、許容範囲内にとどまっており、加盟当初と比べればベトナムの貿易の進歩は目覚ましいといえる。

これまでにわが国が締結した自由貿易協定は16にのぼり、G20諸国のうち15の国と自由貿易協定を結んでいる。これは、ベトナムの潜在的能力や世界的な影響力の大きさのあらわれだ。

さらに2015年にはASEAN経済共同体が発足し、このこともまた、ベトナムがこの経済圏設立に大きく、積極的に貢献してきた結果だ。ASEAN経済共同体の発足と「ASEANビジョン2025」は、ともに、ベトナムとASEAN加盟諸国がパートナー国としてともに繁栄し、地域内の平和と安定を獲得するための指針だ。

―ベトナムと商工省が、ASEAN議長国就任の2020年、ベトナムの最重要課題と考えることは何か。

国連安保理非常任理事国の就任もあり、ベトナムにとって2020年は非常に重要な一年となる。党大会の5か年計画の最終年度でもあり、2020〜2030年の社会経済戦略を開始させる年でもある。

ASEAN議長国としての務めを全うするためにも、外交面でも、ベトナムの発展戦略や目標などの面でも、一貫した、明確な視点をもつことが必要だ。さらにそれは、10年後、そしてその後の国や世界の未来を見据えたものでなければならないと考える。政府とグエン・スアン・フック首相が示す方向性によって、ベトナムは2020年のASEAN共同テーマとして「団結・即応するASEAN」を掲げている。

ベトナムが急激な地域と世界の変革にもまれるなかで、ASEANは重要な要素だ。ベトナムが最優先に考えるのは、ASEAN経済圏を前進させると同時に、地域と世界の発展の傾向を反映させることだ。

ベトナムは、ASEANの迅速な対応を前提とし、複雑な発展にも対応していく考えだ。具体的には、第4次産業革命、デジタル経済、イノベーションや新規事業設立、電子商取引などの技術の土台を構築し、地域や産業内にバリューチェーンを作り上げたいと考えている。

また、急速に転換し、変化する情勢のなか、ベトナムは議長国として、各国間の調整役をつとめる必要がある。ベトナムとASEAN諸国は今年、地域包括的経済連携(RCEP)への署名が期待されているが、これもまた、地域と世界にとって新しい展望となり、新たな関係構造を示すことになるだろう。

国内総生産(GDP)で世界のほぼ40%を占める自由貿易圏となるこの地域は、世界のグローバル化と自由貿易の流れに非常に強い影響を与え、保護主義に待ったをかけることになると期待する。

これら目標を達成するために、ベトナムはASEAN共通ビジョンを反映する事項を優先的に推し進め、世界に貢献すると同時に、ASEANや自由貿易協定の目指す目的を遵守する。具体的には、ASEAN議長国就任中、広い分野にまたがってさまざまな提案を行っていく考えだ。