ASEAN経済大臣会議ダナンで開催 域内貿易の制限をけん制 新型コロナ対策も検討

ベトナム中部のダナン市でこのほど、ASEAN経済大臣会議が開かれた。このなかで、新型コロナウイルス(Covid-19)の感染拡大も取り上げられ、「東南アジアにおける移動制限は、公衆衛生上の配慮に基づいてのみ行い、域内の貿易は不必要に制限すべきではない」との見方で一致した。参加10カ国の経済相らが、共同声明として採択した。

今年のASEAN議長国であるベトナムは、経済発展や域内の貿易と投資、新型コロナ対策など、12項目を議題として提案。共同声明では「目指すべきは人々の健康を守る措置であり、保護貿易ではない」と強調し、各国の賛同を集めた。

会議ではまた、域内の貿易手続きなどを電子化するASEANシングルウィンドウ(ASW)機構など、今年、優先的に取り扱う62件のテーマが提案された。これらには、商品の貿易や国境を超えたサービスの提供▽投資環境▽貿易や熟練労働者の域内移動などの手続き簡略化▽消費者保護▽電子商取引▽中小企業の強化と加速―などが盛り込まれた。

ベトナムのチャン・トゥアン・アイン商工相は会議で、「ベトナムは、地域の経済間の統合と連携を推し進め、平和と持続可能な開発のためのパートナーシップを強化し、ASEANの能力と効果を高めることを最優先と考えている」と発言。ASEANとしての競争力強化のため、ベトナムが今後数年間で域内投資の倍増を目指していることも明らかにし、ASEAN事務局、加盟各国などと連携しながら、域内の企業間の関係強化を促進する考えを示した。

◇新型コロナウイルス対策

今回の会議では、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中の人々の健康と経済に深刻な影響を与えていることも考慮された。域内でも人の移動が制限されるなか、中小企業を中心としたASEAN内のサプライチェーンを維持し、原材料の入手を容易にできる状況の維持を目指すため、共同声明の採択が提案された。加盟各国は、サプライチェーンにおける商品とサービスの円滑な流通を妨げる非関税障壁への対処を強め、今後新たに、不必要な措置を課さないという点で合意した。アイン商工相は、「ASEAN加盟国がサプライチェーンを再構築し、より緊密な協力関係の枠組みを築く機会となる」と前向きにとらえた。

会議では、新型コロナの抑制後の回復シナリオについても検討された。ASEANインド間貿易協定(AITIGA)や、韓国など近隣国との協力再開に焦点を当てて意見が交換され、アイン商工相は、「加盟国や友好国らとの協力を促進しながら持続可能な成長モデルを構築する必要性について、有意義な協議ができた」と話した。各国の参加者からは議長国としてのベトナムの指導力が高く評価された。