ASEANと日中韓 初のオンライン首脳会議 新型コロナ対策で連携

今年ASEAN議長国を務めるベトナムはこのほど、「ASEAN特別首脳会議」と、ASEANに日中韓の3カ国を加えた「ASEAN+3首脳会議」を開催した。新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受け、いずれもはじめて、オンライン会議として実施。今年は当初「結束と呼応」がASEANのテーマとされていたが、今回は主にコロナ対策を議題に取り上げ、域内の結束と協力を強めることで一致した。

◇疫病対策で連携強化へ
14日に開かれたASEANサミットは、史上初めて、オンラインで開かれたASEAN会議となったが、加盟する10カ国すべての首相が参加。域内にとどまらず、パートナー諸国とも、新型コロナウイルスを撃退するための連帯と協力に対し、政治的にも最大限尽力することを確認した。

議長を務めたベトナムのグエン・スアン・フック首相は、「新型コロナウイルスの感染拡大は人類が直面した大いなる課題だ。また、2次世界大戦以降、未曽有の世界的危機であり、また、発足から約半世紀の間でASEANが直面する最大の挑戦であろう」と語った。

そのうえでフック首相は、「この難局に対し、互いに支えあうことで、ASEANの連帯感が強まっている」と強調。各国はこれまでに保健衛生面だけでなく、安全保障、経済、観光などの面でも、協力を推し進めており、「ASEANの努力は、この疫病の抑制においても、期待のもてる結果を生み出している」と評価した。また、650人の住民を抱えるASEAN域内では、新型コロナの感染患者数は1万5000人で、世界の他の地域と比べても、低く抑えられていると報告した。

各国首脳らは、新型コロナの拡大を防ぎ、抑制することが当面の最優先課題であることや、特に国境を超えた人や物の動きが重要だとの点で一致した。一方で、新型コロナが社会経済に与える悪影響を緩和させる対策にも焦点を当てるべきだと付け加えた。例えば、市民生活の保護や中小企業支援など、各国が社会保障と経済支援を提供し、サプライチェーンのつながりを維持するためにさらに緊密に調整する必要性などが具体的に議論された。

会議に参加したASEAN各国首脳らは、新型コロナ対策に関する共同宣言を採択し、この疫病のまん延拡大防止に向けたタイムリーな支援を称えた。

◇日中韓とも協力
ASEAN共同体は、感染者の爆発的増加を阻止するため、近隣のパートナー諸国や国際社会とも協力している。新型コロナウイルスのまん延を阻止し、抑制するために、これまで中国、日本、韓国の政府と協力しており、その努力は、有望な実を結びつつある。

日中韓3カ国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳が話し合ったASEAN+3首脳会議では、各国が従来から続けてきた経済支援や災害対策などの相互協力のほか、2003年のSARS対応以降の疫病のまん延防止策などにおいて連携をとってきたことを、フック首相は強調した。そのうえで、新型コロナウイルスの拡大を受けた事態の深刻さを鑑み、「今後さらにそれを推し進め、ともにこの難局を乗り越えるための連帯を維持しよう」と呼びかけた。

日本と韓国、中国は、経験やノウハウ、疫学・科学的な研究成果などを共有し、医療資材の確保で相互協力することで一致。新型コロナウイルスに有効な薬品の開発やワクチン製造などでの連携も約束した。

このほか、各国首脳は、「人々の健康や安心な生活維持」を最優先にすべきとした。人々の健康と生計の確保、適切な支援などは平等に提供することとし、域内と日中韓で多い移民や外国人の出稼ぎ労働者を含めて、取りこぼされる人のでないようにすることとした。さらに、市場の開放や、地域包括的経済連携(RCEP)の迅速な署名、地域内外の供給源の接続を多様化、商品とサービス、特に医療資材の物流確保なども約束した。

また、新型コロナの感染が収拾した後の回復計画も提案し、各国は、地域経済の安定性と回復力を向上させ、市場の信頼を高める適切な措置を講じるとした。これには、新型コロナウイルスの影響を受けた事業や個人、特に中小企業や脆弱な企業などを支援する経済刺激策などが含まれた。