ベトナムの新型コロナ抑制、世界が報じる 投資先としての信頼や評価が向上

新型コロナウイルスの早期の抑制に成功したベトナムの事例が、海外の多くの報道で取り上げられ、社会が普段どおりの生活や仕事を取り戻している様子が伝えられている。これらの報道は、ベトナムのビジネス環境の安全性を判断する材料ともなっており、ベトナムが将来的な投資先として有望視されることにつながっているようだ。

カナダの電子新聞「グロバールニュース」は、海外の投資家の間で、「ベトナムに対する信頼や、期待感が高まっている」と記事で紹介した。同紙によると、新型コロナ後にサプライチェーンを多様化し、リスクを分散したい海外メーカーらにとって、ベトナムが魅力ある投資先になっていると判断。「コロナ後の経済立て直しの手助けとなる」「信頼に値する」などと、高く評価されていることを伝えた。

タイの「バンコクポスト」電子版は、明るい見通しとして、5月6日にベトナムの株価が2%上昇したことを伝えた。新型コロナウイルスの影響による世界的な経済不況で、他国の株価が軒並み下るなか、過去ひと月の取引でもっともよい結果だったという。

日本経済新聞は、米アップル社会が、従来は中国が中心だったワイヤレスイヤホン「エアーポッズ」の生産を、ベトナムにシフトさせたとのニュースを報じた。今年の第2四半期には、製品全体の30%に相当する約300万~400万個がベトナムで製造される見通しだという。

観光分野でも存在感を示し、アジア太平洋の主要な観光ニュース提供社「TTG Asia」によると、アンケート調査で、中国人観光客の45%が「今年じゅうに行きたい旅行先」としてベトナムを挙げたという。

ベトナムの新型コロナ戦略そのものに注目した海外メディアもあった。イギリスの経済誌「エコノミスト」は、医療費を抑えながら効率よく検疫と感染者対策を展開し、早期の外出禁止解除につなげたベトナムの新型コロナ対応を、「効果的な抑制モデル」として紹介。「プライマリケア」と呼ばれる地域の診療所などによる一次診療が、都市部から農村部に至るまで充実していることや、質の良い医療従事者が多く存在することなどを成功の背景として挙げた。