ベトナムで止まぬ違法漁業、欧州委員会の警告強化を懸念

ベトナムのIUU(違法・無報告・無規制)漁業に対するEU欧州委員会の警告(イエローカード)の解除は、ベトナムが国際社会における威信を回復する上で非常に重要だ。

■大きなダメージ
欧州委員会が2017年、IUU漁業規則に違反したとして、ベトナムにイエローカードの警告を通知して以降、欧州市場へのベトナムの水産品輸出は減少している。水産物加工輸出協会(VASEP)によると、イエローカードの警告措置はベトナムの水産品輸出に大きな影響を与え、欧州市場の従来の顧客も、罰金を恐れて、ベトナム産エビの輸入を削減したり、停止したりしている。

イエローカードが継続する間は、ベトナムから欧州への水産輸出品はすべて検査を受ける必要があり、コストの上昇とともに競争力の低下を招いている。

■レッドカードへの危惧
このまま違法漁業が改善されなければ、さらに厳しいレッドカードが出される恐れもある。

イエローカード解除のための条件の1つは、外国海域で行われている違法漁業を止めることだ。ベトナム水産総局によると、2018年に入ってから、ベトナムはこうした違法行為の再発を防止しているが、依然、外国海域で漁業を行うベトナム船は存在するという。ベトナムは欧州委員会の勧告に基づき、近隣諸国と連絡を取り合いながら、IUU漁業の摘発と対処に努めている。

また、地方自治体には、レッドカードの通知を回避し、イエローカードの解除を達成するために、出入港する漁船を管理し、欧州への輸出時には操業日誌や報告書、水産品の原産地トレーサビリティーを確認することが求められる。

EUは世界最大の水産品輸入市場である。世界で行われる違法なIUU漁業は、年間およそ110億~220億ドル(約1兆1800億~2兆3600億円)に上ると推定される。年間1100トン~2600万トンの水産品が違法に漁獲されており、世界の漁獲量の少なくとも15%を占めている。