ASEAN経済大臣会議 地域包括的経済連携を年内締結へ 日本など6カ国と

第52回東南アジア諸国連合(ASEAN)経済大臣会議が8月30日、テレビ会議形式で開催された。加盟10カ国の経済大臣らは、日本など6カ国の自由貿易パートナー国との間で、年末までに、「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」を締結することを目指すことを表明した。

経済大臣会議や関連会議は8月22日から29日まで開催された。6カ国の自由貿易パートナー国は、日本と中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド。今年議長国を務めるベトナムのチャン・トゥアン・アイン商工相が、ハノイで会議後の記者会見を行い、「RCEPの締結は最優先事項だ。その実現は、ASEAN域内の経済分野における、もっとも重要な出来事になるだろう」と語った。

アイン商工相によると、今回の会合で、RCEP交渉にかかわる重要な課題はほとんど解決できたという。各国大臣らは、法的な見直しを含めて、妥結の準備を加速させ、インドの参加を促すための具体的な指示を出した。今後は、11月に予定されているASEAN首脳会議で詳細を報告する前に、10月にもう一度、大臣級会合を開き、準備について詳細を詰める必要があるとした。

RCEPは、域内知的財産権などについて加盟各国の共通規定を設立させることを目的としている。インドが参加することになれば、その経済規模は世界経済の約3分の1を占め、人口の2分の1が対象になる。また域内GDPは、世界全体の約32%に相当することになる。

会議では、議長国であるベトナムが提示した取り組みなどを継続して実行に移していくことで一致。取り組みのうち、ASEANのデジタル統合と、ASEAN各国のイノベーションセンターを連携させるための条件整備については完了し、残る11の課題についても、今年年末までに完結できる見通しだという。

さらに、ASEAN加盟各国は、域内の物品貿易に関する協定(ATIGA)の基礎となる輸入関税減免規定を承認。ASEANの加盟各国による「自動車製品認証の相互承認」(ASEAN Mutual Recognition Arrangement on Type Approval for Automotive Products :AP MRA)の調印に向けた手続きも完了させた。さらに、今月20日に発足するASEAN域内原産地証明の自己証明制度(ASEAN Wide Self-Certification: AWSC)の実施でも同意した。

世界的な拡大を見せる新型コロナウイルス対策も取り上げられた。各国大臣らは、ASEAN経済共同体の方向性を示す「2025年版計画案」を、感染拡大防止策が必要となっている域内の現状に即して実施する手法について話し合い、課題解決を探るとともに、新型コロナ後のASEAN経済回復に向けた、新たなマスタープラン策定を検討した。

議論は、ASEAN地域とともに、オーストラリア、ニュージーランドや英国といったパートナー国との協力促進にも及んだ。

今回の会議には、ASEAN加盟各国に加え、日本、中国、韓国が加わる「ASEAN+3」も開催され、新型コロナによる経済的打撃を緩和するための行動計画と、新型コロナの影響を乗り越えるための経済協力についての共同イニシアチブを承認した。

また、ASEAN加盟各国の経済大臣らは、域内の開かれた貿易と投資市場を維持し、不必要な貿易障壁の適用を控え、貿易を簡略化し、生産を安定させる手法を増やし、サプライチェーンのつながりを寸断させないよう努力することで同意した。