日越大学訪問した菅首相 「コロナ終息後、ぜひ来日を」と学生にアピール

ベトナムをはじめ東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国を公式訪問した日本の菅義偉首相は訪越中の今月19日、日越大学(VJU、ハノイ市)を訪問した。同大学は、ベトナム国家大学ハノイ校傘下に、日本とベトナムの間の友好と人材交流活動の象徴として設立されており、交流するなかで学生らに「新型コロナ終息後に、ぜひ来日して」と呼びかけた。

同大学で、学生らを前にした菅首相は、「ともに作るインド太平洋地域の未来」と題して講演。日本とベトナム、そしてASEAN加盟国との関係について、「近い距離で協力し支え合い、お互いから学び、成長に向けて協力する対等なパートナーであり、友人だ」と語った。

日越の良好な関係は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で浮き彫りになった。多くの国々が医療資材の不足に困っていた時期に、ベトナムは120万枚の医療用マスクを日本に贈り、このことに触れた菅首相は、「大変感動した」と謝意を述べた。

日本も、ベトナムに対して医療資材や機器などを購入するための助成金をベトナムに提供。ASEANにおける保健や医療システムの強化、公衆衛生の向上などに貢献するねらいで、人材育成の支援も展開してきた。さらに、日本とASEAN加盟各国は現在、公衆衛生危機と感染症発生に対応できる「ASEANセンター」の設立を目指して動いており、「ASEANの感染症対応能力を大きく強化するねらいがある」などと、日本とASEAN地域との協力事例として紹介した。

国際ビジネスの側面については、サプライチェーンの確立が、今のビジネス環境の国際統合にとって不可欠であると指摘。ASEAN諸国への日本企業の進出が、これらの効果をもたらしていると説明した。

この過程で、日本企業はさまざまな人材育成の研修を通じ、現地従業員の専門的な知識を高め、現地経済の発展に貢献したとした。

菅首相は、日本政府がASEAN加盟国との間で美術や言語教育などを通じて展開してきた文化交流活動、「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」についても披露。

新型コロナウイルスの感染拡大が制御できた暁には、多くの人々が日本とASEAN諸国の間を往来し、それぞれの国の多様な文化や豊かな自然を体験し、土地のおいしい料理を楽しむことを期待していると説明。学生たちに対して、「日越大学の学生のみなさん。ぜひとも、研究や仕事に従事するために、またその他の目的のためにも、日本を訪れてください」と熱心にアピールした。

また、「私自身、ASEANとの間のかけがえのない友情を大切にするために、あらゆる努力を惜しみません。 よき友人として、自由で開かれた、さらに繁栄するインド太平洋地域の実現にむけて前進するため、手を取り合って努力しましょう」と語りかけた。