ベトナム、ASEAN諸国と貿易課題の解決を追求 商工省が各国大使と会談

ベトナムにとって、東南アジア諸国連合(ASEAN)は重要な貿易相手だ。新型コロナウイルスの感染拡大が対ASEAN貿易に与える影響を最小限に抑えようと、ベトナムは、困難を乗り越えるための対策をとっている。ベトナムのグエン・ホン・ディエン商工相はこのほど、アセアン諸国の在ベトナム大使らと会談。さまざまな貿易上の問題の低減に向けた課題解決を提案し、経済連携協定(RCEP)などがもたらす利点を最大限に活かす努力をするとの方針を確認した。

商工省によると、ベトナムとアセアンに加盟する9カ国との間の貿易は、右肩上がりで増えている。今年上半期のベトナムの輸出入は、総額3167億3000万ドルに達したが、このうち、とアセアン諸国との間の貿易額は347億米ドルで、全体の10.95%を占めた。

特に、2010年に24億ドルだったフィリピンとの間の貿易は、10年間で倍増するなど急激に拡大。2020年には、53億ドルとなった。新型コロナ感染拡大下にあっても、今年1~5月の貿易の増加の傾向に衰えはないという。

ベトナムとインドネシアの間でも近年、貿易が増えており、2013年に約50億ドルだった貿易規模は2019年に約90億ドルになるなど、1.8倍に拡大。昨年はコロナの影響で停滞が見られたものの、今年に入ってからの5カ月間は堅調に回復し、貿易額は前年同期比40%増の45億ドルだった。

シンガポールは、貿易だけでなく、投資の面でも、ベトナムの重要なパートナー国だ。現在、同国はベトナムへの国別投資額で第3位であり、貿易相手国としても世界第10位、アセアンでは第4位の貿易規模となる。

このように、一見堅調に言えるベトナムとアセアン諸国との貿易関係だが、新型コロナがさまざまな側面で影響を及ぼしていることは否めない。シンガポールのようにベトナムに投資している国々は、ベトナム国内の工業地帯における急速な感染拡大によって、さまざまな課題に直面している。また、貿易障壁も大きな課題のひとつで、ベトナムの輸出を妨げる要因となっている。

◇協力体制を強化
駐ベトナム・インドネシア大使館のデニー・アブディ大使との会談で、ディエン商工相は、経済科学技術協力合同委員会(JC-ESTC)の調整再開や、コメ貿易に関する覚書の署名完了と実施、貿易障壁の撤廃、商品とサービスの流通促進の強化などの実現を提案。また、ベトナムがインドネシア産の石炭購入するにあたって有利な条件設定を要望した。

また、駐ベトナム・フィリピン大使館のメイナルド・ロス=バーニョス・モンテアレグレ大使との間では、互いの農産物市場開放に焦点を当てた「第3回フィリピン-ベトナム共同貿易委員会」を、できる限り早期に開催することを提案した。また、貿易障壁の撤廃とともに、セメントや合板、セラミックタイルなど具体的な項目を挙げて、ベトナムの輸出品にかけられた規制を撤廃に向けた、関係機関との話し合いを要請した。

シンガポールに対しては、ベトナム政府がコロナの感染を抑制し、工業地帯が通常の運営に戻れるように手段を尽くしていること伝えた。