カマラ・ハリス米副大統領のベトナム訪問 二国間の関係強化で成果

アメリカのカマラ・ハリス副大統領は8月24日から3日間にわたり、現役の副大統領としては初めて、ベトナムを公式訪問した。新型コロナウイルス対策をはじめ、地域の安全保障や経済対策などについてベトナム首脳と話し合い、東南アジア地域に対する米国とバイデン政権のかかわりの重要性を再確認する一方で、米越の二国間の関係をさらに強化し、多面的な協力を促す訪問となった。

◇米国とベトナムの関係強化へ
ベトナムと米国の間の関係は過去26年にわたって繫栄し、あらゆる分野にわたって、二国間だけではなく、地域間、世界的な関係においても実りのある協力をはぐくんできた。

カマラ副大統領を迎えたベトナムのグエン・スアン・フック国家主席は、「ベトナムは米国を主要なパートナー国と考えている。両国の独立性、主権、領土保全、政治体制を互いに尊重し、それを礎とした包括的なパートナーシップを強化するために、今後も協力していきたい」と、来訪を歓迎した。

これに対し、ハリス副大統領は「ベトナムは強く、繁栄し、独立している。また、絶えず改革を進め、国際的な統合を拡大し、東南アジア諸国連合(ASEAN)における役割はますます重要なものになっている。米国はそんなベトナムを支持し続けます」とあいさつ。自身のベトナム訪問が両国関係の新たな関係の幕開けを告げるものになると強調し、「両国は、現在直面する問題の解決に向けて協力するだけでなく、将来的な課題にも、ともに立ち向かっていく」と語った。

ハリス副大統領の今回の訪越の重要な目的は、在ハノイ米国大使館の新設のために土地貸借契約の調印に加え、新型コロナウイルスの感染対策としてハノイに設置されたアメリカ疾病対策センター(CDC)東南アジア事務所の開設に立ち会うなど、新型コロナ対策も重要なテーマとなった。

ハリス副大統領はベトナム首脳らとの会談で、新型コロナを封じ込めるためのベトナムの感染症対応を称え、ワクチン調達の国際的な枠組み「コバックス・ファシリティー」を通じて新型コロナワクチン100万回分をベトナムに追加供与することを発表した。

◇米国企業のベトナム進出を容易に
ベトナム商工省によると、ベトナム-米国の二国間貿易協定(BTA)が2001年に発効すると、両国間の貿易は大きく成長。2001年には15億ドル規模だった貿易額は、2017年に508億ドルにまで拡大した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響はあったものの、昨年は米国とベトナムの貿易額は908億ドルに達し、前年度比19.8%増となった。今年1~7月の貿易においても米国はベトナムの主要貿易国であり、二国間の貿易額は前年同期比32.8%増で625億ドルだった。

ハリス副大統領と会談したファム・ミン・チン首相は、「経済と貿易こそが、米越二国間関係の推進力だ」と自身の考えを明らかにした。チン首相は、両国が「ベトナム-米国貿易投資枠組み協定」のなかで関係を今後も強化し、今後さらに協調の取れた持続可能な貿易協力関係を築いていくために、両国で経済貿易協力の実現の可能性を模索していくことを提案した。

また、「ベトナム政府は、ベトナムでビジネスを展開したいと願う米国企業のために、いつでも優遇措置を設けることができるよう、準備している」とした一方で、ベトナム企業が米国に進出したり、投資したりする際の米国側の支援も求めた。

ハリス副大統領は、二国間の経済や安全保障関係が強化されているとし、バイデン政権が、経済や世界的な気候変動への対処、科学技術や製薬産業、健康産業などの分野でもベトナムとの協力関係を維持していくと説明。同時に、ベトナムがいまだに直面している戦争の後遺症の解決や、国連平和維持活動におけるベトナムと米国の協力の強化、東シナ海における安全保障の推進などで、協力関係の発展を強化すると強調した。