フエ国会議長ら欧州訪問 友好関係を強化

ベトナム国会のブオン・ディン・フエ議長ら訪問団が今月初旬、7日間の日程で、ベルギーなど欧州3カ国を訪問した。ベトナムと欧州連合加盟各国との友好関係を強化することがねらい。とりわけ各国議会との関係強化を重視し、欧州議会を訪問したほか、ウィーンで開催された第5回世界議会議長会議に出席した。

◇貿易協定の効果的実現に期待
欧州会議と訪れたフエ国会議長ら訪問団は、ブリュッセルでシャルル・ミシェル欧州理事会議長と対面し、EUがベトナムへの貿易や投資をけん引し、ベトナムの欧州における主要パートナー国であると話した。EUベトナム自由貿易協定(EVFTA)の発効から1年が過ぎ、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらしたさまざまな困難にもかかわらず、EU-ベトナム間の貿易が前年同期比18%も増加したことなどを報告した。

フエ議長は、ベトナムの議会が、貿易協定の準備や調印、批准と実施において、ベトナム議会が重要な役割を果たしたことを説明。労働法の改定と、国際労働機構(ILO)基本条約への参加に向けた計画を承認した。また、EU諸国の議会に対し、EU―ベトナム投資保護協定(EVIPA)の早期承認を要請した。

訪問中、ベルギー経済界や企業関係者らとの面談も行われ、あいさつに立ったグエン・ホン・ディエン商工相が、EUベトナム自由貿易協定の施行後の1年間を振り返り、貿易協定に定められた約束の履行に向けたベトナム側の固い決意を語った。

2015~2019年のベルギーとベトナム間の二国間貿易は、平均で前年比6.09%ずつ成長しており、いまやEU域内で第7位の貿易相手国となっている。新型コロナの影響で昨年は27億8000万ドル規模に落ちたものの、今年1~7月の貿易額はすでに23億2000万ドルに達し、前年同期比46.71%増加しているという。

◇東南アジアへの入り口に
フエ商工相は、企業関係者や財界関係者らとの面談で、ベトナムが海外からの投資を品質と効率、技術や環境保護などに照らして厳選していると説明。特に、デジタル分野を促進したり、ベトナムの死持続可能な社会経済的発展に貢献したりする分野での投資を重視しつつ、ハイテク技術や技術革新、研究開発、ベトナム企業の世界的バリューチェーン参入を後押しし、幅広い分野に波及効果が期待される大型プロジェクトの誘致などに期待感を示した。

さらに、フエ議長は、ベトナムが経済協力開発機構(OECD)の基準を満たすため、最良のビジネス環境を作り出す努力をしていると述べた。具体的には、社会や政治、マクロ経済の安定性の維持、人材や組織、インフラ整備などにおける停滞の原因除去、サプライチェーンの開発、物流や管理費の削減などの実現を約束した。

EUと東南アジア諸国連合(ASEAN)の戦略的パートナーシップ確立については、欧州の投資家に向け、「ベトナムに投資することは、1億人近いベトナム国内市場を手に入れるというだけではなく、6億5000万人規模のASEAN市場、50億人を抱えるアジア市場に進出するチャンスになる」と強調。フエ議長は、「ベトナムは、ASEANとアジアへの玄関口の役割を果たす準備ができています」と企業関係者らにアピールした。

一方で、EU側首脳陣は、欧州で今後ますます重要な役割を果たすようになると予測されるベトナムを、支援し続けていくと約束した。 フィンランドのヴィル・スキンナリ開発協力・外国貿易相は、「ベトナムは過去半世紀にわたってEUの優先的なパートナーであったばかりでなく、フィンランドの親友でもあり、二国間貿易は約50億ユーロに達している」と強固な友好関係を強調した。

今回の欧州訪問の枠組みの中では、ベトナムは、ベルギーとスロバキアから20万回分の新型コロナワクチンの提供に加え、今後さらに数百万回分のワクチン供給に協力するとの約束も得た。 また、多くの国際組織や企業、個人などからも支援があり、1兆280億ドル相当の医療機器が寄贈されたという。