ベトナム、アジア太平洋経済協力会議の活動に貢献

今月初旬、ニュージーランドが議長国となり、「2021年アジア太平洋経済協力会議(APEC)」の主要会合が、テレビ会議形式で開催された。各国首脳会議や閣僚会議など一連の会合で、グエン・スアン・フック国家主席をはじめ参加したベトナム代表団は、APECが掲げる理念の実現に向けて積極的にイニシアチブを取り、責任感と行動力を示した。

◇APECビジョン実現を促進
ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席は、今月8~12日に開かれたAPEC首脳会議と、APECリーダーズウィークのほか、加盟各国の首脳陣と二国間会談を実施し、APECビジネス諮問委員会(ABAC)や各国の企業経営者らとの意見交換会「APEC・CEOとの対話」などに参加した。ベトナムの各省大臣らは、8~9日開催のオンライン閣僚会議に出席した。

各会議でベトナムは、「APECは今後も多国間主義を促進させ、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大がもたらした障壁を乗り越え、地域や世界の経済発展を推し進めるため、地域のカギとなる会議の場であり続ける」という強いメッセージを発信した。

ダン・ホアン・ジアン外務副大臣は、ベトナムのメッセージが新型コロナワクチンや医療用品、医療資源などの公平な分配と、より強い感染症対策の採用という点で、「APEC加盟各国の首脳らの考えと共鳴している」と強調した。また、APECが、デジタル経済や電子商取引の促進、自由貿易の土壌育成、海外各地域との貿易促進、工業生産の回復や原材料などの供給網寸断を避ける対策の実施などを含め、経済回復に向けた新たなアプローチを採用するよう提案した。

さらに、気候変動の影響という観点で、「アジア太平洋地域をはじめ世界各地がその影響を受け、苦悩するなかで、自然や環境を保護しつつ、対策を取ることが求められている」と指摘。ベトナムが、APECの気候変動対策に協力し、環境に配慮しつつ、社会を包括する成長の促進に貢献していく考えを示した。

特に重視するのが、アジア太平洋地域の将来像を示した「プトラジャヤ・ビジョン2040」の実現に向けた取り組みだ。ベトナムは同ビジョンの主軸国としての責任感を示し、実施を主導する立場にある国のひとつとしての自負を見せた。

◇開かれた貿易を支援
新型コロナによる社会的隔離などの影響で、域内各地でサプライチェーンの寸断が起こったことを教訓に、ベトナムは今後、サプライチェーンの停滞が起きないように、また、輸出入市場を守るために、さまざまな解決策を提案した。また、経済や財政面の施策実施によって、新型コロナがもたらした障壁を乗り越える経験や情報を域内で共有し、政策を調整したり、打撃を受けた個人など社会的弱者や、体力のない中小企業などを支援したりすることで、コロナ後の世界回復を推し進めるとした。

グエン・ホン・ディエン商工相は、国内の貿易や投資がベトナムの経済の再建と復興における優先事項だとしつつも、ベトナムがAPEC地域全体の回復にも貢献する考えであることを強調した。

具体的には、第一に取り組む方針なのが、サプライチェーンの回復と商品の確実な循環の実現と、安全で停滞のない貿易や生産活動の回復だ。続いて、政府の支援策を通して、企業や家族経営の事業所、個人などによる生産を再開させ、政府の支援策を通して人々の生活を安定させる。第3に、公共投資や国内外の民間資本などからの資金を活用し、地域間を結ぶ交通インフラの整備、自然環境に優しいグリーンエネルギーの導入、国家規模でのデジタル環境実現のための大規模投資などを実施していく考えだ。

さらに、ディエン商工相は、「ベトナムは、開放的でバランスのとれた多国間取引システムを支持していく」との方針を確認した。