ベトナム、OECD東南アジア地域プログラムの共同議長国に就任 韓国での会合で

韓国ソウルを拠点にオンライン会議を併用して行われていたOECD(経済協力開発機構)の東南アジア地域プログラム(SEARP)の第2回閣僚会合で9日、ベトナムがオーストラリアとともに共同議長国に就任した。前回の議長国、韓国とタイから責務を引き継いだ。任期は2025年まで。

ベトナムからは、ブイ・タイン・ソン外相が会議に参加。SEARP共同議長の地位を引き継いだソン外相は、ベトナムが今後オーストラリア、OECD、その他の参加各国と緊密に協力し、地域の経済回復と開発に貢献するとの決意を表明。「人間をプロセスの中心に据えて、プログラムを引き続き推進していく」と、一貫した方針の採用を約束した。

会議には、OECDからマティアス・コーマン事務総長と、加盟38カ国の閣僚ら、さらにASEAN各国閣僚とASEAN事務局長、その他の国際組織の代表らが集った。ベトナムは昨年、OECDと協力関係を深めるための覚書に署名し、この東南アジア地域プログラムにも加わっている。この場で、開催国である韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相は、「ASEAN諸国は現在、韓国の新たな南方政策の焦点だ」と強調し、「ASEAN経済圏との協力を強め、より自然にやさしい、包括的なASEANの実現に向けて、貢献したい」などと話した。

会議の一環として、ASEAN諸国とOECDは、31の分野に及ぶ協力の覚書に署名。これによって、この2つの国際組織が協力関係を強化するための重要な枠組みが完成した。会議では、参加者らが、より自然にやさしい、包括的な社会の未来像の実現などについて話し合ったほか、ASEAN側を代表し、ソン外相がOECDとASEANのパートナーシップ強化に向けて、3つの分野における協力展開を提案した。

その分野の候補のひとつが、デジタル改革だ。OECDに対してベトナムは、この分野をより重点的に支援し、相談を継続していくよう求めた。具体的には、ASEANが包括的な回復を実現するための支援策の増設、製造業の自動化となどを目指す「インダストリー4.0戦略」や「ASEANデジタルマスタープラン2025」を始めとするさまざまなデジタル化施策への支援を、さらに手厚くするよう要望した。

ソン外相はまた、あらゆる人がデジタル技術の教育を享受し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられるよう、社会変革を進めることの重要性も訴えた。

さらに、昨年開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に関しても、ベトナムが約束した「より緑豊かで、持続が可能な未来」を、ASEANとしても実現すべく、低炭素の社会経済発展に向けたOECDの支援を求めた。

会議に参加した各国閣僚らは、「人間中心の未来:よりスマートでグリーンかつ包摂的なASEANに向けたパートナーシップ」についての共同声明を採択した。

ベトナムはデジタル経済の発展に力を入れており、政府方針の「2030年までのデジタル化に関する国家プログラム」の実現を目指している。これにともない、政府はGDPに占めるデジタル経済の割合を2025年に20%、2030年には30%にまで成長させることを目標に掲げている。また、再生可能エネルギーや高度技術、質の高い人材の育成などへの投資拡大によって、成長の方向性を変えたい意図もある。 これらの展望の実現においても、ベトナムはOECDと加盟各国の協力や支援について、期待感を示した。

期間中、ソン外相はOECDのマティアス・コーマン事務総長などとも会談。コーマン事務総長は、ここ数年間のベトナムの目覚ましい社会経済発展の成果を祝い、「OECDと加盟国はベトナムに対して、経済の回復、成長モデルの変革、デジタル化の取り組みの実施と発展などを加速させ、持続可能な開発目標を共同で達成していきたい」と誓った。