ベトナムの航空業界は、今年の運輸乗客者数を4200万~4300万人にまで回復させる計画だ。これは、新型コロナウイルスの世界的感染拡大前の約50%に相当する数字で、海外から空の便でベトナムを訪れる観光客800万人を含む。ベトナム民間航空局がこのほど、明らかにした。

国際航空運送協会(IATA)は今年の世界的な航空機旅客需要が、新型コロナ前の61%にまで回復するとの見方を示している。

航空業界に新規参入した格安航空会社(LCC)、バンブー航空では今月、ハノイとホーチミンからメルボルン(オーストラリア)間、またハノイ―フランクフルト(ドイツ)間の新規路線が就航した。同社は今後、国際便をさらに40路線にまで広げる方針で、ハノイ―ロンドン(英国)間、ホーチミン―シドニー(オーストラリア)間の便は、3月22日から毎週2便ずつに運航回数を増やす予定だ。

北東アジア方面も強化しており、ハノイ―成田、ハノイ―台北(台湾)、ハノイ―仁川(韓国)路線も、それぞれ週2本に増便した。さらに、ホーチミンと成田、台北などを結ぶ便も近く就航が予定されているほか、今月末には、新路線として開拓されたホーチミン―バンコク(タイ)便、ホーチミン―シンガポール便の航空券販売も開始した。

一方、フラッグキャリアであるベトナム航空は、3月末以降、毎週97本の国際便運航を再開させると発表。ベトナムを訪れる外国人観光客の回復を見込み、人気だったシンガポール―ダナン間は週3便が再開されたほか、ビーチリゾートのフーコック島、ニャチャン発のシンガポール便も、4月15日から週1回ずつ運航されるという。

ベトナム航空は、6月には中国やインドネシア向けの国際線就航も全面再開する予定で、中国へは週6便、インドネシアへは週3便を運航する。ダナンやニャチャン発の便は、日本や韓国向けも今後再開が予定されており、就航する国際線は160便にまで回復する見込みだ。

ベトナム政府は15日、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、ロシア、日本、韓国、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ベラルーシの13カ国を対象としたビザ免除施策にかかわる政令を発効。これら13カ国の国籍をもつ人であれば、パスポートの種別や入国目的を問わず、入国から15日以内のベトナム滞在のビザ取得が免除されるとあって、ビジネスでの来越に加え、外国人観光客の訪越が本格的に回復するとの期待が高まっている。

政令は当面、2025年3月14日までの期限付きだが、その後は、関係当局がベトナムの法律に照らして更新される見込み。

航空機を利用した海外からの入国に際して、ベトナム保健省は、2歳未満の乳幼児を除き、入国の72時間前までに実施された有効な新型コロナPCR検査、または24時間以内に実施された迅速抗体検査で、陰性であることを証明する必要があるとしている。これらの結果は、検査が行われた国の当局が承認したものに限られる。入国後の14日間の強制隔離や新型コロナ検査は必要がなくなった。そのかわり、入国前に事前に公式の健康管理アプリを保健省のサイト(https://tokhaiyte.vn /help)からダウンロードしておき、健康状態の申告を行うことが義務付けられる。

自動車などを利用して陸路で入国する場合や、船、鉄道での入国も、移動時間が短い場合は、航空機利用時と同じ条件となる。ただし、移動が長時間になる場合は国境の入国ゲートでPCR検査を受ける必要があり、ここで陽性と判明した場合、ベトナム保健省のガイドラインに従って隔離などが行われる。