米国企業は、ベトナムでの事業拡大に取り組んでいる。今年2月までに、米国はベトナムに対し、103億ドル(約1兆3000億円)以上の投資を行い、ベトナムへ投資する141の国・地域の中では11位に位置する。米国の投資案件は、主にホーチミン市やビンズオン省、バリアブンタウ省などの南部地域に集中している。米国からの投資を誘致している分野の中では、宿泊・飲食サービス業が44億6000万ドル(約5500億円)で最も多く、総投資額の43.1%を占める。次いで、製造・加工業が2位、水利・廃棄物処理業が3位だった。

在ハノイ米国商工会議所(AmCham)のバージニア・フート副会頭は、「ベトナムは過去2年間、ビジネスと投資環境において重要な改善を行い、サプライチェーンを維持してきた。さらに、政府は貿易や生産活動において企業を支援するため、数多くの政策を立案してきた」と評価する。

エコノミストらは、ベトナムが投資先として魅力的であるのは、政府の努力によるものだと分析している。新型コロナの流行という状況においても、多くの米国の大企業は事業を維持し、投資を拡大し、新しい機会を求めてきた。その中には、アップルやグーグル、ネットフリックス、デル、コカ・コーラなどが含まれる。

米国・ASEANビジネス評議会(USABC)の地域統括ディレクターであるマイケル・ミハラク氏は、「米国企業は、行政手続き改革や投資環境の改善に取り組む、ベトナム政府の努力を高く評価している。彼らは、ベトナムを魅力的な投資先と認識し、同国での事業拡大を約束している」と述べる。

また、フート氏は、「世界経済が徐々に回復し、各国がサプライチェーンの構築で競争し、投資誘致を強化している中では、イノベーションを重視する公正で、透明性のある、予測可能な規制環境は、ベトナムが新しい投資を呼び寄せるベストな方法だ」と強調した。

3月8日にハノイで開催された、米国・ベトナムビジネスサミット2022では、多くの米国企業が、行政手続きや税制の改革、物流インフラの整備、デジタルトランスフォーメーションの推進、人材育成を通じて、ベトナム政府がビジネス環境の改善を継続していくことを希望した。

グエン・チー・ズン計画投資相は、「ベトナムは、ビジネスや投資環境の改善のために、制度・メカニズム・政策の見直しと改善、迅速な行政手続き改革、マクロ経済の安定性の確保、インフレの抑制を継続していく。また、特に重要なインフラプロジェクトに対する公共投資の支出促進、国営企業の株式化の推進と効率化の改善、民間・外国投資の誘致を強化するためのメカニズムや政策の導入に注力していく」と述べた。

米国企業は、ベトナムとの協力分野として、ヘルスケアやデジタルコマース、エネルギー、気候変動を優先分野に設定しており、米国医療代表団の現地視察やエネルギー分野で可能性を探る計画がある。