日本への輸出 ベトナム企業は何に注意すべきか?

世界一厳しい日本という市場への輸出のチャンスを生かすために、ベトナム企業はいくつかの事項について注意を払う必要がある。

ベトナム企業の日本市場における市場占有率がやや低い。

日本は長年にわたり、ベトナムの主要な貿易相手国の一つだと言える。2021年、日本は米国、中国、韓国に次ぐベトナム第4位の輸出相手国で、中国と韓国に次ぐ第3位の輸入相手国だった。

人口1.26億を超える日本は、魚及び海老、うなぎ製品、肉及び大豆製品、シリアル製品、生鮮及び加工野菜、コーヒーなどの製品の輸入需要が大きい市場だ。

一方、ベトナムはそれらの製品に強みを持ち、日本市場の需要に応えることができることが期待されている。

2021年には、ベトナム産農水産物の日本への輸出売り上げは18億米ドルに達し、2020年同期比で0.5%とわずかに減少した。そのうち、主力製品である水産物の売り上げは7.4%減少した。それ以外の製品項目は、高い成長率を記録した。コーヒーは25.5%、野菜と果物は20%、カシューナッツは39%、胡椒は56%増加した。ドラゴンフルーツ、マンゴー、ドリアン、ココナッツ、ライチなどのベトナムの果物も大きな市場シェアを占めるようになってきた。

ベトナム製品が日本市場に浸透できているように見えるが、中国、フィリピン、ブラジル、インド、マレーシア等と比較すると、市場シェアはまだかなり低い。具体的には、日本に輸出されているベトナムの生鮮及び冷凍野菜の割合は1.3%に過ぎず、49.5%という最大のシェアを占めているのは中国だった。その他、ベトナム産果物は2.7%(フィリピン18.9%)、コーヒーは14.7%(ブラジル30.1%)、胡椒は25%(マレーシア34.7%)、カシューナッツは42.3%(インド55.2%)、加工魚およびシーフードは8.8%(モーリタニア33.2%)、海老は19.4%(インド22.3%)、いかとたこは9.4%(中国41.2%)、木材および木製品は6.9%(カナダ30.1%)を占めている。

ベトナム企業にとってのチャンス!

2022年は、円安、ロシアとウクライナの戦争による原油価格の高騰、中国の「ゼロコロナ政策」による生産コストの増加などの影響を受け、日本製必需品の価格の上昇が続き、日本国民への負担が増大してきた。

現在、日本の各家庭では、輸入品の家具は34%、食料品、衣料品及びその他の必需品は約50%のシェアを占めている。長期的には、日本人消費者はますます輸入に依存するようになっていく。特に安価でありながら品質や用途に差異のない製品を優先する傾向が見られる。

駐日ベトナム大使館商務参事官タ・ドク・ミン氏は、他の国の製品と同等の品質を確保しながら販売価格を低くすること、又は日本の国産品の代替品を提供することができれば、ベトナムのチャンスが広がると述べた。

日本市場シェアを拡大するために、ベトナム企業は以下の対策に留意する必要がある。

第一に、日本は輸入品に関する品質基準が世界一厳しいため、農林水産物は、食品衛生と安全、動植物検疫の基準を満たさなければならず、GAP、HACCP、または本農林規格
JASに従うように求められ、工業製品は、製品仕様、技術規格、ラベル表示規則、日本産業規格(JIS)を満たす必要がある。

第二に、日本の商品流通システムは、様々な機能別の段階から成立された複雑な構造になっている。例として、日本のスーパーは、海外から直接商品を輸入するのではなく、主な大手貿易商社を通じて商品を購入している。そのため、各提供国にとって日本の大手貿易商社との良好な関係を築くことが必須になる。

現在、ベトナム企業は主に日本の貿易商社や卸売業者を通し日本に商品を輸出している。小売業者や加工業者などの他のチャネルと接触するチャンスが非常に制限されている。多くのベトナム企業は、日本における代理システム又は支店を持っていない状況にある。

第三に、日本人の消費者の嗜好並びにビジネス文化は非常に特徴的だ。品質は日本人が最も慎重に検討しているものだ。日本製品は高品質のため、日本人消費者は商品(輸入品を含む)の高品質を求めている。それに加え、価格、デザイン、サイズ、色、用途なども不可欠な要素だ。

第四に、ビジネス文化の観点からすると、日本の相手先と初めて面会する際に、ベトナムの企業は、名刺、カタログ、会社概要、サンプル等を持参する必要がある。時間や約束厳守も大事なことだ。通常、日本企業とのビジネス協力関係を築くのは簡単ではなく、信用できる相手に仲介として紹介してもらわなければ、日本企業との信頼関係を構築することができない場合も多い。

上記の特徴に加えて、日本に輸出する際に、日本・ベトナム経済連携協定(EPA)、日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)等、日本とベトナム両国が参加している自由貿易協定で定められている減税コミットメントを生かすのも魅力的だ。

現在、アジア・アフリカ市場局、貿易促進局、輸出入局、ベトナム商務部、産業貿易局、農業農村開発省の各担当部、各業界団体、外国貿易促進組織等のベトナム及び日本のサポートチャネルを利用することもできる。