ベトナムが2030年までに、国の発電能力の45%を再生可能エネルギーとする目標を達成するには、140億ドル(約1兆9000億円)の資金が必要であり、同国は国内外からの投資を呼び掛けている。

写真㊤=ベトナムのファム・ミン・チン首相と米国のジーナ・ライモンド商務長官は、EVNとGEの協力覚書の調印式に立ち会った

◇投資を要請
6月6日、米国のジョー・バイデン大統領は、太陽光発電メーカーへの供給不足に対する緊急事態を宣言し、ベトナムを含む東南アジア4カ国で製造されたソーラーパネルについて、24カ月間の関税免除の措置を講ずる大統領布告を発表した。

続いて、米商務省のパメラ・ファン アジア担当副次官が、代表団を率いてホーチミン市人民委員会を訪問し、クリーンエネルギー分野における二国間協力を強化する道筋を探った。ファン氏は「米国企業は、ホーチミン市への投資を拡大しており、ベトナムにおけるクリーンエネルギーの開発や現地のエネルギーシステムを守るセキュリティサービスを提供する機会を求めている」と述べた。

また、5月11日にワシントンを訪問したファム・ミン・チン首相は、アジアグループ、ブラックストーン、GenX、AESのリーダーに対し、ベトナムで大きな発展の可能性を持つ風力、太陽光、潮力発電への研究と投資を要請した。米国の代表者らは、ベトナムにおけるエネルギー転換プロジェクトや昨年スコットランドのグラスゴーで開催された「第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)」におけるベトナムの力強い公約の実現に関心を示した。

◇公正で透明性ある仕組み
ベトナムクリーンエネルギー協会のホーチミン代表事務所のダオ・ズー・ズオン所長は、「ベトナムは、風力や太陽光といった再生可能エネルギーの開発に大きな可能性がある。政府はその開発の促進と送電システムの整備に一層の努力を行っている」と指摘する。

ホーチミン市の工業団地には、屋上太陽光発電を設置する余地がある。加えて、50の省と市が、電力開発計画VIII案にあらゆる種類の電力の総容量(55万MW)を含めるよう商工省に提案した。その中には、洋上風力発電12万9000MW、陸上風力発電10万6000MW、液化天然ガス(LNG)発電14万MW、農場規模の太陽光発電11万8000MWが含まれる。

だが、プロジェクトを進めるにあたって省と市は、公正で透明性のある競争の仕組みを導入しなければならない。再生可能エネルギープロジェクトの入札では、省と市がプロセスに参加し、投資家とともに歩む必要がある。

ベトナムのチン首相と米国のジーナ・ライモンド商務長官は、ベトナム電力総公社(EVN)とゼネラル・エレクトリック(GE)の2022年から27年までの協力覚書の調印式に出席した。この覚書では、発送電における協力機会の探索、米国の電力システムに適用可能な新技術に関する情報交換、新しいガス・火力発電に関するトレーニングやサービスなどを求めている。