伝説の美食で身も心も美しく─。ANAクラウンプラザホテル大阪(大阪市北区堂島浜1)の中国料理「花梨」で、美容や健康面で注目されている高級食材、燕の巣をテーマにした「燕の巣フェア」(3月31日まで)が開催されている。オードブルからスープ、デザートまで、燕の巣独特のプルプルとしたみずみずしい食感が楽しめる。中国やベトナムでは、王族の食材とも呼ばれ、数多くの伝説が残る燕の巣。その魅力に迫る。

南国の青い海と青い空のもと、小さな命によってはぐくまれる至宝の食材、燕の巣。

ゼリーのように透き通って輝く姿は、まさに〝食べる宝石〟といった感じ。食べてしまうのがもったいなくなってしまいそうだ。

「新年を迎えるのにふさわしい豪華なもの。美しくなりたいとう女性の願いにこたえるようなメニューを、と燕の巣をテーマにしました」

ANAクラウンプラザホテル大阪の木下智子マーケティング支配人は話す。
中国やベトナムでは、古くから王族の食材として珍重され、現在も女性の美しさを保つ美容食や健康食として富裕層に人気が高い燕の巣。同フェアではこの高級食材をふんだんに使用、贅を尽くした多彩な料理を用意している。具体的なメニューは─

「鮑の冷製 燕の巣烏骨鶏ジュレソース」(5500円)▽「パパイヤの姿蒸し烏骨鶏スープ 燕の巣添え 」(5500円)▽「キヌガサ茸の燕の巣詰め茶碗蒸し仕立て 上海蟹ソース」(3500円)▽「黒胡麻プリンと竹炭杏仁豆腐の二層仕立て 燕の巣添え」 (3000円)▽「タピオカ入りココナッツミルク 燕の巣添え 」(2500円、料金はいずれも税・サービス料別)

料理長おすすめの「黒胡麻プリンと竹炭杏仁豆腐の二層仕立て 燕の巣添え」は、別皿に盛られた燕の巣を、黒い杏仁豆腐とプリンが2段に入った器にのせて食べる贅沢なデザート。弾力ある燕の巣となめらかな杏仁豆腐、その下のとろけるようなプリンの舌触りが絶妙で、竹炭と胡麻の上品な香りがほのかに広がる。甘さを抑えた味わいが、燕の巣の食感をよりひきたててくれる至福の一品だ。

「燕の巣は、日本ではまだまだなじみの薄い食材。この機会に燕の巣を知ってもらい、身も心も美しくなっていただければ」と木下マーケティング支配人は話している。


満足感、見た目の高級感にもこだわり 田中料理長インタビュー

燕の巣の魅力や調理方法、今後の展開についてANAクラウンプラザホテル大阪 中国料理「花梨」の田中孝尚 料理長に聞いた。

――今回の「燕の巣フェア」では、スープからオードブル、デザートと幅広い料理がそろっています。留意した点は?

田中 非常に高級な食材なので、燕の巣をしっかりと食べたという「満足感」を大切にしています。たとえば、スープの場合、スープの中に入れてしまうのではなく、あえて別皿にして、そのままでも、スープの中に入れても楽しめるようにしています。

─アワビを使ったり、金箔をあしらったり、豪華な印象ですね

田中 味はもちろん、見た目の豪華さにもこだわりました。一口食べる前にぜひその見た目も味わって、写真を撮ってSNSで友人や知人に紹介していただければありがたいです。

─調理の上で難しい点は?

田中 燕の巣は、乾燥食品で、戻したときの食感が大切です。いろいろ方法はあると思いますが、私は熱湯を注いでそのまま冷ましながら自然に戻しています。戻し過ぎると、量は増えますが、大切な食感が損なわれるので、その点を注意しています。

─「黒胡麻プリンと竹炭杏仁豆腐の二層仕立て 燕の巣添え」をいただきました。舌触りと甘さ加減が絶妙です

田中 燕の巣と竹炭の杏仁豆腐、胡麻プリンの甘さのバランス、食感のバランスに気をつかいました。燕の巣をそのままを味わうという意味では、デザートが一番合うと思います。

――家庭でも調理することはできますか?

田中 十分できます。約5㌘の燕の巣を容器に入れて、約10倍のお湯を注ぎ、ラップをして2時間程度戻せばできあがります。合わせるものとしては、コーヒー用のシロップやコンデンスミルク、ヨーグルトに入れるのも良いですね。戻した後は水の入った密閉容器に入れておけば、冷蔵庫でも保存できます。

――今後の展開を

田中 品質の良い燕の巣を仕入れることができたので、他にはない「花梨」ならではのメニューを出していきたいと思っています。燕の巣には、こんなにも可能性がある、ということを出せれば。アイデアは、たくさんあります。小袋入りの乾燥状態の燕の巣に、家庭でもできるレシピを添えて、名物の杏仁豆腐とともにテイクアウト用にすることも検討中です。今回のフェアを通して、燕の巣という食材をもっと身近に感じてもらえるようになれば、うれしいですね。


 

南国の自然がはぐくむ至宝の食材 高品質なベトナムのビンディン省産

ANAクラウンプラザホテル大阪(大阪市北区堂島浜1)の「燕の巣フェア」では、ベトナム南中部のビンディン省産の高品質な燕の巣が使用されている。南シナ海に面した同省は温暖で豊かな自然に恵まれ、食材となる巣を作るアナツバメの生息に適した環境が広がっている。

「ビンディン省の燕は、他の地域の燕より繁殖力が強い。巣作りの能力も高いところから、特産品として知られるようになりました」と現地で燕の巣を扱うグエン・ティ・スオン・ゴック社長は話す。ゴック社長の会社は4つの島と16カ所の洞窟の管理。収穫時期は年3回で、収穫のタイミングは気候などから経験で判断する。

同社が特に配慮しているのが、燕の繁殖への影響だ。卵の入っている巣は、基本的に採らず、巣ができてから卵を産みつけるまでのわずかな間に収穫する。巣が採取されても、燕は再度巣を作って卵を産むため、繁殖への影響を少なくできるという。歴史ある貴重な食材は、こうした小さな命へのいつくしみの心によって大切に受け継がれてきた。

アナツバメの唾液でできている燕の巣には、豊富なアミノ酸や体に必要な元素が含まれていることがわかっている。現地のベトナムでは、免疫力や代謝機能アップが注目され、特に妊娠中、産後の女性の体力回復に食べられることが多いという。さらに、中国などでは美しさを保つ美容食としても富裕層の女性に人気が高く、食材としてだけでなく、サプリメントの原料などとしても使われている。

「健康志向の高い日本の人たちにも、ぜひ知ってもらいたい」とゴック社長は話している。