ベトナムのスタートアップや輸出業者が、Eコマース(電子商取引)を活用した輸出事業で成功を収めている。

写真㊤=企業はEコマースを活用して輸出を拡大している

アイン・トゥ国際プラスチック社の設立は2002年だが、海外への輸出販売を始めたのは、2011年にEコマースを導入してからだ。同社の製品は、韓国、日本、米国、オーストラリアとヨーロッパの一部で販売されている。新型コロナウイルスの影響で輸出需要が落ち込み、一時は在庫が増えて収益が減少したものの、現在、受注は安定してきたという。

同社の輸出部門責任者のホアン・ティ・フォン氏は、「当社は輸出を拡大するために、生産技術や製品に関するデータをすべてシステム化し、Eコマースのプラットフォーム上でデータ分析を行って、ターゲットとなる市場を特定している。自由貿易協定をうまく活用できている」と話す。

VIXEMCO輸出入会社も、Eコマースを活用して成功を収めた企業の1つだ。年初以来、同社の収益は10億ドン(約476万円)に達したが、ドアン・フオン・トゥイ事業部長は、「オンライン貿易は、地理的な距離や時差の影響を受けずに海外の顧客にアプローチでき、製品を展示するショールームもいらないというメリットがある」と語る。

オンライン取引にはこうした長所がある一方で、言語や情報技術が壁となって、積極的に導入しない企業もある。ホアン・ティ・フォンさんによると、同社も当初は、関税障壁や原産地規則、貿易救済措置といった貿易上のルールに加え、言語やビジネス文化、消費者習慣において多くの課題に直面したという。

商工省は、こうした課題を解決するため、とりわけ中小企業に対してアリババやアマゾンといった世界的なEコマースプラットフォームとの協力を推進している。同省貿易振興庁傘下の情報技術応用センター(INTEC)のグエン・ティ・ミン・トゥイ所長は、「貿易振興庁は、主要なプラットフォームと協力して、企業がEコマースのメリットを認知できるよう働きかけを行ってきた」と話す。

同庁は2020年10月から、アリババとともに約1000社を対象にしたトレーニングコースを開設したほか、およそ300社に対してコンサルティングも実施してきた。トゥイ所長は、持続可能な販売網の構築を目指して、より企業が導入しやすい手法でサポートを行うことを約束した。