政府支援で市場回復に期待 下半期の不動産業界

ベトナム国家銀行は、住宅を購入する個人、企業向けの民間銀行の貸出金利を下げるため、4回にわたって政策金利を下げてきた。こうした政策によって、国内の不動産市場は、回復するのか。早ければ下半期にも効果が現れる、との見方が出ている。

写真㊤=不動産市場は回復するのか。業界では、来年から不動産価格が上昇するとの観測もある

今年上半期、不動産市場は販売価格が低下し、動きも鈍く、慎重に様子を見ようという投資家の心理が支配的となっていた。こうしたなか、政府は不動産市場の課題解決に向けて、法的手続きの見直しなどさまざまな対策を進めてきた。国家金融財政諮問委員会のメンバーで経済学者のカン・バン・リュック氏は、「政策の効き目が出るには時間がかかる。市場回復の明確な道のりが見えるのは、今年の第4四半期まで待つ必要がある」と話す。

さらに、リュック氏は下半期の課題として、不動産関連プロジェクトの問題調査や、解決を急ぐとともに公共投資や公共住宅の開発を加速させることを挙げる。一方、企業側にはキャッシュレス決済の取引の採用や、資本調達に銀行の貸付以外にも投資ファンドや不動産投資信託など多くのチャンネルを持つことを推奨する。

政府の対策への期待は高まっている。ニューホーム不動産センターのグエン・ブ・ディレクターは、「不動産市場に対する支援策が真に効果を発揮すれば、今年の第4四半期から来年の第2四半期にかけて市場は回復するだろう」と予想。「今、市場は限られた数の取引をめぐる激しい争いが続いている。公共住宅開発や住宅ローン対策によって市場が回復するのをみんなが待っている」と期待を寄せる。

一方、ベトナム不動産ブローカー協会市場調査チームのファム・アン・コイ氏は、「今年後半には2つのシナリオが想定される」と慎重な見方だ。「第1のシナリオは、不動産市場に難題が積み残され、投資家の信用が回復しないケース。その場合、資本は低金利の銀行に眠ったままになる。第2のシナリオは、預金利率が今年末までに6~7%に落ちるケース。この場合、銀行に預けられていた資金が再び不動産に市場に戻ってくるだろう」と話している。