ASEAN諸国の国際展示会の市場に成長の兆しがみられる。ASEAN経済共同体(AEC)やASEAN統合イニシアティブなどの実施に伴い、今後4年ほどは、毎年約10%程度成長すると見込まれている。

アジア最大の国際展示会・見本市の運営会社であるUBMアジア社は、この成長率はアジアの他地域での伸び(8%)を上回るとみる。同社のジメ・エッシンク最高経営責任者(CEO)は、AECの設立により、ASEAN諸国内での貿易障壁が減り、域内貿易がさらに活性化すると予見し、「ASEAN全体を一つの市場とみれば、規模はインド市場よりも大きい。そのため、われわれはこれらの展示会を、海外パートナーやバイヤーを域内に誘致するための〝地域の見本市〟と位置付けている」と話す。

一方で、エッシンク最高経営責任者は、例年約15回の国際展示会を開催して域内の主導的な役割を担ってきたマレーシアで、展示会市場の成長が失速し、地位を失いつつあることを指摘。会場面積の不足という物理的な理由が原因だという。マレーシアの展示場面積はすべて合計しても9万平方メートルしかないが、バンコクにあるタイ最大の展示会場は、1階部分のみで15万平方メートルの広さを誇る。また、インドネシアのジャカルタも、8万平方に会場スペースを増やしつつある。

国際見本市連盟(UFI)によると、2013年の国際展示会の世界的な市場規模は約230億ドルで、このうちASEAN加盟国のマレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピンとベトナムの6カ国で開催された展示会は6億ドルにのぼるという。