ベトナムのビール製造大手、サイゴンビール・アルコール飲料総公社(SABECO)のハノイ工場が採用した環境に配慮した製造技術改善が、注目を集めている。総額52億ベトナムドンの設備投資が必要だったが、結果として年間約21億ドンの経費節減が実現。商工省も、環境保護と持続可能な発展を両立した見本と位置づけている。
経費節減を長期的な生産戦略の鍵としたSABECO ハノイ工場では、ビール1000リットルの生産に使用する原材料や燃料などの使用上限を、1年間、四半期ごと、月ごとで設定。計画実現のための専門部署も設置して現場での改良策を導入し、定期的に結果報告をさせた。
SABECOハノイのグエン・バン・ビエン次長によると、最も効果的だったのは、排水処理の過程で集めたバイオガスをボイラーの燃料に再利用する技術の導入で、「ビール生産に必要な燃料や電気の使用量を減らし、温室効果ガスの排出も削減できた。また、生産過程で生じる温水も、別の工程で有効利用している」と話す。
このほかにも、水を使わない乾燥式の洗浄方式を採用したり、燃料使用の削減のためにさまざまな機械にインバーターをとり付けたりした。ビール作りで最もエネルギーが必要な醸造の工程では、蒸気式の加熱機を導入。ビール溶液を沸騰させるための重油の使用量を減らすことができたうえ、熱交換の過程で凝結する水を集めてボイラーで有効利用するなど、水の使用量削減にもつながった。
環境配慮型の生産と並行して、技術的な水準を高め、設備の維持にも万全を期すため、同工場はISO9001:2008 とISO14000の認証を取得。食品安全のHACCPの基準も満たしている。
環境に配慮した施策導入は15項目におよぶ。これらは、同工場での節電を実現し、重油と水の使用量においても、親会社のSABECOが定める基準を約10%も下回ることができた。ハノイ・エネルギーセンター(ECC Hanoi)の監査と評価によると、SABECO ハノイ工場では、1年間で315187キロワットの電力と、145774リットルの重油、48970立方メートルの水の利用をそれぞれ削減。ほぼ21億ドンに相当する経費節減だという。
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VNLオリジナル 2013年9月01日