ベトナムの文化・スポーツ・観光省はこのほど、祭りなどの管理運営に関する法令の草案を提出すると発表した。継承されてきた伝統的祭事の商業化する傾向に警鐘を鳴らし、熱狂した集団の暴徒化や将棋倒しの危険性などを防ぐねらいがある。

この案件に関しては、文化・スポーツ・観光省は、政府にイニシアチブを取るよう求めた。同省のチン・ティ・トゥイ副大臣は、「政府から、計画に青信号が示されれば、最初の草案は早ければ2018年よりも前に公開できるよう準備を進めている」と語った。

同省によると、最近、複数の地域での伝統的な祭りが、暴力的、攻撃的な内容などのために、批判されているという。例えば、ハノイで行われた新春の祭りでは、熱狂した群衆が殺到し、混沌とした中で人が倒れたり踏みつけられたりする事態となった。このようにさまざまな祭りで熱狂のあまり、参加者の統制がとれず、将棋倒しの危険性が指摘された。また、一部では現代にそぐわない残忍な伝統儀式が今も継承されていたりすることや、祭りにともなって物乞いや商品の販売価格のつり上げなどが横行することなども、課題として挙げられた。

伝統の祭りに関しては、運営を取り締まる法律がこれまでなかったため、当局がさまざまな不正や群衆の行動を規制するさいの障壁となっていたという。

今後検討される法案では、既存の祭典と今後開催される祭りを、伝統的な祭り▽歴史的なできごとや革命などを祝う式典▽文化的な行事やスポーツの試合、観光客向けのイベント▽海外に由来する祭り-の4つのカテゴリーに分類した。

伝統的な祭りに関しては、今後法案が通れば、運営団体は遅くとも開催の20日前までに、当局に開催を通知しなければならなくなる。

その他の祭りやイベントなどは、開催許可証が必要となり、当局が内容を精査し、残虐な儀式や暴力的な行動などを伴わないと認められたもののみが、開催を許される。また、伝統的な祭りの開催許可証申請に関しては、祭りの起源などを示す歴史的根拠の提示を求めていくという。

また、祭りの商業化や資金の不正などを防ぐ意味合いで、どのような種類の祭りであっても、祭壇などに設置する賽銭箱や募金箱は2つまでに限定。さらに、予想される参加者や観客の人数を考慮して、適切な数量のトイレを設置し、ゴミの回収場所をわかりやすく設置することなどを盛り込んだ。

関係者によれば、法律の立案が政府に認可されれば、同省は、今年の年末前にも専門家や祭りの参加者、市民らから、草案に対する意見や評価、アイデアなどの聞き取りを行うという。