阮朝宝物がオークションに カイ・ディン帝の記章など

仏統治時代のベトナムの宝物273点が26日、パリのオークションハウス、ドゥルオーで競売にかけられる。阮朝(1802-1945)第12代カイ・ディン帝(1885-1925)の記章や、第8代皇帝、ハム・ギ帝(1871-1944)から仏総司令官に贈られたとされる儀式用サーベルなどが含まれている。昨年来、ベトナムの歴史的な遺産や国宝級の品々の競売が相次いでおり、国内では海外流出や売買の法的規制に向けた動きも出ている。

写真㊤=カイ・ディン帝の記章(ドゥルオー提供)

オークションのタイトルは、「コレクション・ミシェル・ゴンティエ - アンナム帝国の装飾品」。カイ・ディン帝の記章は、計6カラットのダイヤモンドと真珠で装飾され、長方形の台座には龍の姿と、「天子に平和と繁栄を」という意味を表す漢字4文字が刻まれている。公式な肖像写真の撮影や宮中での儀式の際に着用された唯一の記章とされ、落札予想額は、今回のコレクション中最高の8~12万ユーロ(約1300~1900万円)。

カイ・ディン帝ゆかりの品では、白いひすいの半月型の首飾りも出品される。向かい合った2匹の龍と、「天から永久の使命を受ける」という意味の漢字が刻印され、3~4万ユーロ(約490~650万円)の落札が予想されている。


カイ・ディン帝のひすいの首飾り(ドゥルオー提供)

サーベルは長さ97.5㌢で、ハム・ギ帝から仏保護領の総司令官ブリエール・ド・リル少将に贈られたと伝えられている一品で、落札予想額は3000~3500ユーロ(約50~60万円)。このほかオークションには、バオロン王子とフオン・ズン王女の記章やナム・プン皇后(1914~1963年)の翡翠の銘板なども出品される。


ハム・ギ帝(1871-1944)から仏総司令官に贈られたとされる儀式用サーベル(ドゥルオー提供)

ベトナムの歴史遺産をめぐっては昨年2月、パリのオークションに出品されたグエン朝の金印を、バクニン省のコレクター、グエン・テ・ホン氏が610万ユーロ(約10億円)で落札。金印は、同氏が私設博物館「ナムホン王朝博物館」で展示している。こうしたなか、文化・スポーツ・観光省は、国宝や文化遺産の売買や輸出を禁じる文化的遺産法の修正案を提案した。