鉄道旅行が人気 航空運賃上昇で

航空運賃の上昇に伴い、国内旅行に列車を選択する旅行者が増えている。需要拡大のチャンスととらえて、鉄道会社もサービスの品質向上に力を入れている。

写真㊤=4月末からの大型連休を利用し、ハノイからダナンへの列車旅行を楽しむ家族(VNA/VNS Photo Huy Hùng)

「渋滞の心配もないし、駅も街の中心地にある。列車で一泊することになるけど、車窓から美しい風景を眺めることもできる。列車の方が便利で、楽しい経験にができそう」。家族でダナン市への旅行を計画しているグエン・ティ・タン・ホアさんは、列車を選択した理由について、電子新聞のベトナムプラスにこう語った。

ホアさん家族は、世界遺産のフエやダナンなど中部の結ぶ「中部遺産接続列車」(Central Heritage Connection train)を利用しながら、ハイヴァン峠やランコー湾に足を延ばす予定だ。

ダナン市観光局によると、4月30日から5月1日にかけての休暇期間中、1万6000人以上(前年同期比60%増)の人が鉄道を利用して同市を訪れた。このほか、フエやニャチャン、ハイフォンなどでも、鉄道を利用し旅する人が急増している。

ハノイ鉄道社(Hà Nội Railway Joint Stock Company)によると、今年4月から外国人2200人を含む2万7600人が、フエとダナンを結ぶ「遺産列車」(The Heritage Train)を利用した。同社のダ・ヴァン・ホアン社長は、「地元と一緒に、観光客向けのアトラクションの企画やや多様なサービスの提供について、旅行会社と協力を進めている」と話す。

ベトナム鉄道総公社(VNR)のダン・シー・マン総裁も鉄道利用の人気の高まりを認める。2024年第1四半期の旅客輸送量は140万人以上、収益は7000億ベトナムドン(約42億円)だった。マン総裁は、「昨年と異なり、今年はローシーズンにも多くの人が鉄道を利用している。南北間の旅客列車が満席になることもしょっちゅうだ」と話す。「ただ、品質向上がついていかないと再び利用してくれなくなるだろう。需要に見合うサービス提供ができるよう、より幅広い商品と旅を提供してきたい」と意気込んでいる。

鉄道業界では近年、観光客向けの豪華列車を用意、人気を呼んでいる。VNRでは高級列車SE19/SE20(ハノイ―ダナン)▽SE21/SE22 (ダナン―ホーチミン)▽フードツアー列車(ハノイ―ハイフォン)▽フエ―ダナン中部遺産接続列車▽ダラット夜行列車―など多彩な列車を運行している。

マン総裁は、「鉄道を単なる移動手段ではなく、それ自体を一つの体験にしたい。列車はチェックインの到着点に、駅は文化、芸術、歴史、遺産の到着点になりうる可能性を秘めている」と期待を寄せた。