紅河デルタ特産の魚介ラーメン タイビン省名物「バイン・ダ」

紅河デルタ地方、タイビン省クインコイの人々にとって、魚介スープの麺料理「バイン・ダ」は生活に関わりの深い、懐かしい郷土料理のひとつだ。この地域を訪問する観光客にもおすすめの味で、食べてみれば忘れられない経験となるはずだ。

首都ハノイから南西に約100キロ離れた所に位置するタイビン省クインコイは、特別おいしいバイン・ダの麺の産地として知られる。

バイン・ダとは、米粉を原料としたベトナムの伝統の食材。米粉で作った丸いせんべい状の食材をバイン・ダというほか、それを細く裁断して乾燥させた麺、そしてこの麺を使ったラーメンのような料理もバイン・ダと呼ばれ、人々に親しまれている。

クインコイの特産であるバイン・ダの麺は、乾燥させた透明な米粉の乾麺を、はしの半分ほどの太さに、薄く切っているのが特徴だ。魚や肉、エビなどと作ったスープを加え、歯ごたえのある米の風味のあるラーメンにする。


クインコイで作られたバイン・ダの乾麺

この麺は、クインコイの魚介ラーメンには、不可欠の食材。レストランや大型量販店などでは扱いが少ないが、地方の市場などでは安価で簡単に手に入る、いわば庶民の家庭料理の代表格だ。

魚介ラーメンの具材には、新鮮なライギョやソウギョなどがおいしいとされる。きれいに洗って骨を外し、6㎜ほどの厚さに薄切りにしたものに魚醤(ヌックマム)とコショウ、砕いたターメリックの粉などをまぶし、30分ほど下味をつける。この切り身を炭火であぶった後、油でカラリと揚げる。揚げるときに、ショウガを入れて、香り付けすることもある。

小さい骨の多い魚の場合は、すり身にして、おろしショウガを加え、さつま揚げのように揚げたものを乗せると風味が出ておいしい。魚の頭やアラ、大きい骨などもムダにせず、甘辛い煮汁を作る際のダシに使う。


一度食べたら忘れられないクインコイの魚介ラーメン

この魚の煮汁に、ベトナムで「ルット」や「カン」と呼ばれる野菜と、ネギ、ゆでたバイン・ダの麺を入れ、最後に揚げ魚を乗せて完成だ。レモンやチリ、ディル、コリアンダーなどの香草といっしょに食べる。

魚のダシを使ったスープも、歯ごたえのある麺もとてもおいしい。タイビン省を訪れた人にとって、クインコイの魚介ラーメンは必ず食べるべき料理の一つだ。