時代とともに歩む美しき町-ホイアン旧市街

 

2002年の末、大学3年生だった私は友人と5人で初めて、遠くへ旅をしました。遠方と言っても、大学生なので、それほどお金はありません。ハノイ市の観光会社で購入したツアーは、フエとホイアンを訪れる旅でした。その思い出は素晴らしく、今も鮮明に残っています。ホイアンは私にとって大好きな街になりました。ホイアンの旧市街に関する記事は数多く存在します。でも、今回は、私が見て、感じたホイアンの魅力をご紹介します。初めて訪れた11年前、そして今。時代の流れとともにこの街は美しさを増しているようです。(写真は全て昨年、撮影しました)

フエとホイアンに向かったバスは45席、乗客はほとんどが外国人でした。多分、ベトナム人の大学生は私たちだけだったでしょう。車中で一泊過ごしてから、フエに着き、それからホイアンを訪れました。

ホイアンの旧市街はツゥ・ボン川の下流にある古い都市。地理的にはクアン・ナム省の海沿い平野部に属します。ダナン市から南へ約30キロです。

  

初めてホイアンを訪れた私は、静かなこの町に、とても爽やかな気分になりました。車も通らず、クラクションの音も、埃もありません。でも、この街の「色」は強く印象に残りました。家の外壁は黄色、窓とドアは特徴的な青色。華やかなちょうちんの色も美しく、目を引きます。古い家の屋根には青い色の苔(コケ)が付いていました。そして、窓には美しい色の花。街並みを少し見ただけでも、爽やかな気分に浸れました。

 

  

 

 

ホイアンの人々の生活はシンプルで優しい。大きな都市での生活とは違って、人々は「自転車をゆっくりと漕ぐ」ように日々を過ごしているように見えました。路地では、のんびりと子どもたちが遊んでいました。優しいそうなお婆さん、お爺さんの姿を今も思い出します。「競い合うこと」そして「争うこと」のない生活を、感じていました。

美しいホイアンを巡って、「この街で夜を過ごしたい」と考えた私たちは、一泊することにしました。それは本当に良い選択でした。夜のホイアンを体験していなければ、満足できなかった部分もあったと思っています。

早めに、みんなで夕食をとりました。ツゥ・ボン川沿いにあるお店でゆっくりと美味しい料理を食べながら、静かな雰囲気を満喫しました。

夜になると、華やかなちょうちんに明かりが灯されました。「美しい、本当に美しい光景」でした。ホイアンのシルクは柔らかくて綺麗です。そのシルクはちょうちん作りにも使われていました。可愛いらしかったのが、ゴザのスリッパ。土産物店のお婆さんは、私がゴザのスリッパを買った時、これもまた可愛いシルクの財布をくれました。

最近、旅行だけなく、出張でもホイアンを訪れる機会があります。あの美しい屋根や、静かで清潔感のある町の魅力は変わりません。加えて、おしゃれなコーヒーのお店や高級なレストランもできました。見えないところにも進化はありました。観光客のために、ホイアン旧市街の全体でWiFi(ワイファイ)が無料で使えるようになりました。

ホイアンは“時代遅れ”にはなりません。「新しくするべきところ」はきちんと刷新されていました。一方、昔からの伝統的な文化は大切に残されていました。この街の魅力は、その時の流れとともに、いつまでも存続して行く、そう感じています。